俳句

「海原」の俳句を「海原」誌面より抄出して紹介します。

『海原』No.57(2024/4/1発行)

◆No.57 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出「熊の胆いあります」賛否あります 石橋いろり寒紅やたまにショートする感情 大池美木椋鳥むく去って電線弛みきったまま 大沢輝一綿虫の湿気孕んで女子校生 大西政司指先 …

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狐鳴く 佐々木宏

『海原』No.57(2024/4/1発行)誌面より 第5回海原金子兜太賞受賞第一作〔3回連作・その3〕 狐鳴く 佐々木宏 吹雪聞く玉音放送聞くように流氷や農耕民族おうと言う耳こゆび記憶凍傷になる順序働いて働いて畏まる姉冬 …

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古里のその古里 立川瑠璃

『海原』No.57(2024/4/1発行)誌面より 第5回海原新人賞受賞 特別作品20句 古里のその古里 立川瑠璃 古里のその古里は蜃気楼記憶の扉明ける朧に祖母がいる春三日月地平のわが身浸しつつ非人称の町角はみな花の匂い …

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ルイージの懊悩 中内亮玄

『海原』No.57(2024/4/1発行)誌面より 第5回海原賞受賞 特別作品20句 ルイージの懊悩 中内亮玄 帰り花ポケットの中に握り拳雪風巻ポケットの中に握り拳冬北斗ポケットの中に握り拳春浅きポケットの中に握り拳卒業 …

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ペンのあと 佐々木宏

『海原』No.56(2024/3/1発行)誌面より 第5回海原金子兜太賞受賞第一作〔3回連作・その2〕 ペンのあと 佐々木宏 弟と木の実漂白剤のにおい山に雪私に母さんふりました冬服やオウム出してはまた入れるセーターの裏も …

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『海原』No.56(2024/3/1発行)

◆No.56 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 カラフルな呼吸たそがれどきもみじ 石川青狼突き刺さるガザの子の「なぜ」秋夕焼 伊藤巌寒昴われは一本の藁である 稲葉千尋鵙日和蕎麦打つ男佳かりけり 大池美木夜気み …

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『海原』No.55(2024/1/1発行)

◆No.55 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 十六夜をぺったんぺったん歩く夫 綾田節子八月や忘れぬ為に石を置く 石川義倫少年老いて面の遊びの朴落葉 遠藤秀子わたくしに鰭生え雨の木下闇 大沢輝一秋風ばかり詰め …

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カーンと秋 佐々木宏

『海原』No.55(2024/1/1発行)誌面より 第5回海原金子兜太賞受賞第一作〔3回連作・その1〕 カーンと秋 佐々木宏 鮭帰るいつもの場所に広辞苑過去帳は蛇の穴かも続きかもサフランはタバコ覚えたときの花カーンと秋さ …

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『海原』No.54(2023/12/1発行)

◆No.54 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 高足蟹『地球の歩き方』にっぽん 綾田節子百万のヒマワリ洗脳されている 石川青狼「うつしみは罪」とまで詠む爆心地 石川まゆみ羽根枕のような自由苔の花 遠藤秀子夜濯 …

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『海原』No.53(2023/11/1発行)

◆No.53 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 微光して老いた馬立つ薯の花 石川青狼故山夕焼けきちんと叱り叱られて 伊藤巌拓かれし村 牲として古代蓮 伊藤幸水撒いてだんだん人に戻りけり 大池美木白雨ですぼくを …

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『海原』No.52(2023/10/1発行)

◆No.52 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 夫婦という漸近線ぜんきんせんや半夏生 石橋いろり葱坊主不登校児の片ピアス 榎本愛子草城子の忌よ伏目の犀とは言い得て妙 大西健司ヒルガオのつまづきながら鳴るピアノ …

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自由作品18句「カカオの女(祝詞橋)」大西健司

『海原』No.51(2023/9/1発行)誌面より ◆自由作品18句 カカオの女(祝詞橋) 大西健司 〈カカオ句会の奥伊勢吟行会は先達奥山甲子男氏の蛇淵庵をお借りしての句会からスタートした〉 甲子男忌や人影の濃き祝詞橋対 …

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『海原』No.51(2023/9/1発行)

◆No.51 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 ブランコ天辺街のさみしき岬 伊藤道郎竹皮を脱ぐや刺客の潜みいる 大池美木くずおれる戦後の形はや暮春 大髙宏允春日遅々ゴリラのように坐つている 大西宣子芍薬や男ひ …

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『海原』No.50(2023/7/1発行)

◆No.50 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 柿の木に梯子の架かったまま空き家 有村王志舐めてみたよ春耕あとの黒き土 伊藤幸鉄線花背凭れのない椅子の暮し 井上俊子ムツゴロウ少し居眠りしたそうだ 大髙宏允樹木 …

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哀悼 中村ヨシオ 植田郁一

『海原』No.49(2023/6/1発行)誌面より ◆特別作品15句 哀悼 中村ヨシオ 植田郁一 味噌麹まるで月面つぶらな瞳生まれ育った紀州の海よ背は竜神麹に育てられし慈顔温顔九代目紀伊水道霧の三叉路灯の五叉路出船入船天 …

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『海原』No.49(2023/6/1発行)

◆No.49 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 ブチャは雪焦げた戦車と痩せた犬 綾田節子二月二十日檄文のような星屑 石川青狼掌の皺を深めて母が手毬巻く 石田せ江子百歳は八合目なり富士初日 伊藤巌杜中がシンセサ …

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路地灯り 大西健司

『海原』No.48(2023/5/1発行)誌面より ◆自由作品20句 路地灯り 大西健司 熟柿啜るは真人間なるエセ詩人流木焼べ浜の男の新ばしり開戦日湯呑みに酒を注いでおり真珠塩と看板寒の道戻るお国訛りの潮風ここは牡蠣の海 …

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『海原』No.48(2023/5/1発行)

◆No.48 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 横丁の昭和は剥がれ霙鍋 石橋いろり言葉とう感情の波野水仙 故・伊藤雅彦ベンチにひとり極月の忘れもの 伊藤道郎「おいでるかい」三河弁の初客 井上俊一芽出づる亡き妻 …

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春の色 望月士郎

『海原』No.47(2023/4/1発行)誌面より 第4回海原金子兜太賞受賞第一作〔3回連作・その3〕 春の色 望月士郎 みずいろの今から春を描く絵具啓蟄の赤い「家庭の医学」かなキューピーにももいろの影告知祭青しとは白木 …

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『海原』No.47(2023/4/1発行)

◆No.47 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 咆哮の君ら白紙を冬の日に 石川青狼「もういい」と点滴の兄冬紅葉 榎本愛子母さんは百合鴎そう新種です 大沢輝一ジェラシーの薄くなるまで葱刻む 奥村久美子余命という …

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『海原』No.46(2023/3/1発行)

◆No.46 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 榠樝の実落ちて居場所のなかりけり 伊藤幸よう来たか秩父木枯吹き合う笛 植田郁一フェイスシールド色鳥は純な球 大沢輝一よう咲いたと白山茶花に一献 大谷菫神送りアン …

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ヨロコブコロヨ 望月士郎

『海原』No.46(2023/3/1発行)誌面より 第4回海原金子兜太賞受賞第一作〔3回連作・その2〕 ヨロコブコロヨ 望月士郎 吾が妹を摘み草組みつ思い川詫び景へ椿は奇抜平家琵琶水張りて春田の垂は照り弾み涅槃西風釈迦の …

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野の指とまれ 川田由美子

『海原』No.46(2023/3/1発行)誌面より 第4回海原賞受賞 特別作品20句 野の指とまれ 川田由美子 ちちははの形代として朝の虫階きざはしが好きで穂草に生まれけり押印のよう帰燕気流と擦れちがう古代的近未来的樗の …

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ウルトラマン商店街 大池桜子

『海原』No.46(2023/3/1発行)誌面より 第4回海原新人賞受賞 特別作品20句 ウルトラマン商店街 大池桜子 ウルトラマン商店街や冬ざるるわたくしのそっくりさんがいる二月とんかつ屋いつもの席が春隣ドーナツに並ん …

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モナリザの姉 望月士郎

『海原』No.45(2023/1/1発行)誌面より 第4回海原金子兜太賞受賞第一作〔3回連作・その1〕 モナリザの姉 望月士郎 風光りピカソの青とすれちがうモネの絵に絵具を見てる春愁海市にてビーナスの腕ニケの首ルノアール …

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『海原』No.45(2023/1/1発行)

◆No.45 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出鰯雲君の御託は聞くとしよう 綾田節子禁断のアラート穴に這入る蛇 石川青狼うすもみじ花屋のオジサンに嫁がきた 伊藤幸悼む夜を流星の弧のさしこめる 伊藤道郎風鳴りの丘 …

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『海原』No.44(2022/12/1発行)

◆No.44 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 白絣今のわたしに出会った日 綾田節子かなしいほど鶴見る老々介護かな 有村王志民喜・三吉・あれはあつゆき雲の峰 伊藤巌終活の写真に埋もれ夜の秋 伊藤雅彦草の花なら …

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『海原』No.43(2022/11/1発行)

◆No.43 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 結界とは問われて默す餘花の雨 阿木よう子蔓手毬記憶の向こうはいつも雨 伊藤幸父の日や全ては母を経由して 伊藤雅彦帰るさのタトゥーのサーファー海に礼 榎本愛子胸襟 …

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『海原』No.42(2022/10/1発行)

◆No.42 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 母の日をモナリザのよう手を組んで 綾田節子戦記のごと蛍のむくろ一つ置く 大西健司沖縄忌ジュゴン黙って消えにけり 岡崎万寿山桜桃記憶の外の負の記憶 奥山和子老いは …

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『海原』No.41(2022/9/1発行)

◆No.41 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 今生の別れはライン 薄翅蜉蝣 石橋いろり遠く住む姉 障子明りが救いです 泉尚子麦秋や爪弾く禁じられた遊び 大髙洋子卯の花腐し爪の小さな家系かな 奥山和子肖像画遺 …

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『海原』No.40(2022/7/1発行)

◆No.40 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 斑雪老婆焦土に国旗挿し 綾田節子キュンです。咲き初めしつるバラ 石橋いろり出来ぬこと幾つも増えてクロッカス 伊藤巌リハビリの綾取り縺れ日脚伸ぶ 榎本愛子麦秋と青 …

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『海原』No.39(2022/6/1発行)

◆No.39 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出冬帽子ムーミンパパのお古だな 綾田節子曽祖母の夜咄締めは「生き過ぎた」 石川まゆみムンクの叫び凍滝と言えないか 伊藤道郎生き切ったいや生き切れず金魚玉 宇田蓋男サ …

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『海原』No.38(2022/5/1発行)

◆No.38 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 胎動を撫でて小声の福は内 石橋いろりガスタンク球体の羽化寒の月 市原正直開戦日漬物石が見当たらぬ 伊藤雅彦未来図ノ谺ノヨウニ冬木影 伊藤道郎着ぶくれてマスクのな …

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『海原』No.37(2022/4/1発行)

◆No.37 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 長命の虎の巻其の二猫じゃらし 綾田節子羽後残照見開き悼武藤鉦二兄ひと言夜の灯 有村王志冤罪は小さな箱の中粉雪 泉陽太郎欠礼のはがきガラスに点る顔 市原正直野仏の …

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雪 大沢輝一

『海原』No.37(2022/4/1発行)誌面より 第3回海原金子兜太賞受賞第一作〔3回連作・その3〕雪 大沢輝一 切切と雪に雪降り潟泊り霏霏と雪鴉よ白くなりなさい雪のメモ解読しない潟の人冬の潟ごっつんこする硬い風寒い潟 …

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沸騰 大沢輝一

『海原』No.36(2022/3/1発行)誌面より 第3回海原金子兜太賞受賞第一作〔3回連作・その2〕 沸騰 大沢輝一 冬の鳥作業衣のごと雨の中冬鳥に生まれてそして潟は潟冬の鳶なんども空にぶつかって鴉からす雪風咥え啼けぬ …

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ピロピロ笛 鳥山由貴子

『海原』No.36(2022/3/1発行)誌面より 第3回海原賞受賞 特別作品20句 ピロピロ笛 鳥山由貴子 永遠の花野に軋む観覧車左手が生む詩つぎのページに冬青の実落し穴少し欠けてる冬の月やさしさと赤いセーターちくちく …

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『海原』No.36(2022/3/1発行)

◆No.36 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 冬山のようななりしてお父さん 伊藤歩覚束なく逝く夫照らせ石蕗の花 榎本愛子綿虫が静かに降るよ名を呼ばれ 大池美木銀杏大樹兄サが降りてきそうな日 大沢輝一冬の雷不 …

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『海原』No.35(2022/1/1発行)

◆No.35 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出榠樝の実だけを並べて無聊です 伊藤雅彦鶏頭の紅蓮私にも黙秘権 榎本愛子十月の水動かずにひとの影 大池美木鶴来るカタカナで鳴く父連れて 奥野ちあき木霊かなフォークソ …

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『海原』No.34(2021/12/1発行)

◆No.34 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出今朝の秋シャインマスカットの水光 石橋いろり顔のないマネキン運ぶ敗戦忌 大沢輝一八月のにんげんとして喉鳴らす 大髙宏允一人居の箸置替えて涼新た 加藤昭子訃報あり金 …

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にこっと秋 大沢輝一

『海原』No.35(2022/1/1発行)誌面より 第3回海原金子兜太賞受賞第一作〔3回連作・その1〕 にこっと秋 大沢輝一 蔵の壁とんぼが寄って旗つくる川端のひとなつっこい赤蜻蛉原子炉の構造的な曼珠沙華蕎麦の花残り湖底 …

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『海原』No.33(2021/11/1発行)

◆No.33 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出花氷含み笑いをYESという 綾田節子手編み物ばかりの遺品昭和の日 有村王志木洩れ日にひとり影踏み自粛の子 伊藤巌枯草を敷く移植葱梅雨籠る 江井芳朗苔の花たっぷりと …

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『海原』No.32(2021/10/1発行)

◆No.32 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 ラベンダー不意打ちの別れのことば 石橋いろりかき氷昼を白しと記すとき 伊藤淳子缶ビール生きた気もせず死ぬ気もせず 植田郁一花盛り本日人間休みます 大沢輝一青嵐肺 …

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『海原』No.31(2021/9/1発行)

◆No.31 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 寂しさとう頑固のひとつ冬の岩 有村王志五月雨は映画のあとのよそよそしさ 泉陽太郎空気からからだ引き上げ春の蠅 伊藤歩三密の表面張力 花は葉に 伊藤幸眠る間まも沼 …

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『海原』No.30(2021/7/1発行)

◆No.30 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 晩年とは風を聴くこと西行忌 赤崎ゆういち諸葛菜土鈴ですか山鳩ですか 石橋いろり籠り居に日毎彩さす木瓜の花 泉尚子ミャンマーよ「ビルマの竪琴」祈るなり 岡崎万寿花 …

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『海原』No.29(2021/6/1発行)

◆No.29 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 「昭和史」の日々生きて来し龍の玉 伊藤巌節目なき痛哭を負う三月十一日 宇川啓子狐火の麓より湧く被曝村 江井芳朗三月の孤独汽船の影となり 大池美木酢のごとき日日に …

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『海原』No.28(2021/5/1発行)

◆No.28 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 元朝をパンチで交わす吾家かな 綾田節子編み方の緩き八十路の冬帽子 石川和子ひとりという人の気配や藪柑子 伊藤淳子人の声波紋となれり紅葉狩り 内野修掌に新米転げ復 …

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九十九王子 大西健司

『海原』No.28(2021/5/1発行)誌面より ◆自由作品20句 九十九王子 大西健司 讃岐の人狐火の杜目指しけり憂国や熊野中辺路木守柿草の罠冷たく滝尻王子かな野長瀬一族の山茶花は赤奥熊野萍紅葉に心寄せつつ木橋過ぐ木 …

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春愁ふふっと 桂凜火

『海原』No.27(2021/4/1発行)誌面より ◆自由作品20句 春愁ふふっと 桂凜火 気仙沼牡蠣語を話す牡蠣漁師孕鹿暮れる東国うす青したましいの在りどころ探す鹿の舌なすび蒔く土を優しく膨らます輪郭なき春 靴紐堅結び …

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眼差し 三枝みずほ

『海原』No.27(2021/4/1発行)誌面より ◆第2回海原金子兜太賞受賞第一作〔3回連作・その3〕 眼差し 三枝みずほ どのこゑも遠し青き空ひとつ石ころがほろほろ零れ春の川さてもまたあなたの春野さまよへり蛇穴を出て …

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『海原』No.27(2021/4/1発行)

◆No.27 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 寒夕焼気分に句読点を打つ 伊藤雅彦悼む夜は胸に花野の漂流す 伊藤道郎マスク外せば目鼻耳持つ綿虫は 植田郁一秋の双蝶生きんがための物忘れ 大野美代子狐火の血筋集め …

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りんどうの花 日高玲

『海原』No.26(2021/3/1発行)誌面より ◆第2回海原賞受賞 特別作品20句 りんどうの花 日高玲 草原に仔馬を拾う遥かなり清明の鳥のたちまち流れゆく半地下に打音の響く日永かな夜更かしの水飲む舌のおぼろなり白ア …

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あたたかいくぼみ 小松敦

『海原』No.26(2021/3/1発行)誌面より ◆第2回海原新人賞受賞 特別作品20句 あたたかいくぼみ 小松敦 月白の匂い始める部屋を出てひらがなの丘に枯葉の海望むふたりとも青の体温焼りんごあたたかいくぼみに違う生 …

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一枚だけの紙 たけなか華那

『海原』No.26(2021/3/1発行)誌面より ◆第2回海原新人賞受賞 特別作品20句 一枚だけの紙 たけなか華那 蒸気時計が叫ぶ父に最後の冬一日に一枚だけの紙ください冬の青空寒月 ナツメ灯点すだけの部屋運河にハスゴ …

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春野 三枝みずほ

『海原』No.26(2021/3/1発行)誌面より ◆第2回海原金子兜太賞受賞第一作〔3回連作・その2〕 春野 三枝みずほ 罫線に沿うもう青空に追いつけない塗りつぶす文字や焦げ臭い鉛筆手のひらをはなれ睦月の光とはオルゴー …

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白い深淵 佃悦夫

『海原』No.26(2021/3/1発行)誌面より ◆自由作品20句 白い深淵 佃悦夫 かいつぶり女院大の字に寝たるか白梅や秤に揺らぎ残りおり人外にもっとも遠く鳰ニオ寝落つ水神も兎も寝るをはじめたる一瞬は蝶本道を外れたり …

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果無山脈 大西健司

『海原』No.26(2021/3/1発行)誌面より ◆自由作品20句 果無山脈 大西健司 忍手の男無患子こぼれおり果無や絵馬堂にがまずみの赤熊野晩秋心許なき竹の杖杯に甘露の水や那智は秋茶屋跡の石蕗果無山が見ゆ毀誉褒貶雲取 …

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『海原』No.26(2021/3/1発行)

『海原』No.26(2021/3/1発行) ◆No.26 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 母が来るリュックありったけの十月 綾田節子白秋や被爆ピアノの喫茶室 石川まゆみ未完なる冬の俳句に尾行さる 市原光子み …

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雪の賦 北村美都子

『海原』No.25(2021/1/1発行)誌面より ◆特別作品30句 第21回現代俳句協会年度作品賞佳作 雪の賦 北村美都子 直線のひしめきてビル群に雪雪暗や河口に途絶え街の音姿見の奥のあおあお雪が来る雪の夜の薬包ふたつ …

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手の影 三枝みずほ

『海原』No.25(2021/1/1発行)誌面より ◆第2回海原金子兜太賞受賞第一作〔3回連作・その1〕 手の影 三枝みずほ 青空の深さ声帯が震える縄跳びや冬の虹立ち上がるまで人体の散らばらぬよう焚火へ手硝子戸に星の息づ …

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『海原』No.25(2021/1/1発行)

『海原』No.25(2021/1/1発行) ◆No.25 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 まんじゅしゃげ心の隅に原野あり 阿木よう子夏蝶の昏さよ古き手紙のよう 伊藤淳子タクト振り止まず白鳥鳴き止まず 植田郁 …

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『海原』No.24(2020/12/1発行)

『海原』No.24(2020/12/1発行) ◆No.24 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 山彦を吸い込んでいる父の声 奥山津々子人想う一本 いつしか草の花束 柏原喜久恵黒揚羽刻を透かし彫るように 金子斐子 …

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『海原』No.23(2020/11/1発行)

◆No.23 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 水禍後ポツリ婆語るよう子守唄 伊藤幸鵜の木に鵜じっとしている流離さすらい 伊藤淳子猪殖栗ふぐりぶら下げ荒ぶ被曝畑 江井芳朗老いたかな夏葱きざむ軽き嫉妬 大野美代 …

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『海原』No.22(2020/10/1発行)

◆No.22 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 アマビエを刻して夏至の道祖神 赤崎ゆういち黙もだという裸のこころほうほたる 伊藤淳子篠の子やつんつんとする三姉妹 伊藤雅彦行間の三密麦の穂が痛い 大西健司夏帽子 …

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『海原』No.21(2020/9/1発行)

◆No.21 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 蕗の葉煮る高倉健の味のして 綾田節子紅枝垂れ病む肩に触れ背中に触れ 伊藤巌木の芽雨一粒ずつ検品す 奥山和子八月やしゅっぽと消えた縄電車 川崎千鶴子菫買ったらうす …

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『海原』No.20(2020/7/1発行)

◆No.20 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 春琴抄閉じ春雷の中にいる 伊藤巌誰か呼ぶふと身じろぎの花蘇枋 伊藤淳子激論のあと春満月が重過ぎる 伊藤道郎3・11「古里」奏ずトランペット 江井芳朗一枚の田のそ …

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『海原』No.19(2020/6/1発行)

◆No.19 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 冬落暉海に浮かんでいる享年 大沢輝一沈丁花ぽろぽろ鬼の泣く話 奥山和子回教徒冬の霧へと歩み去る 小野裕三泥の海より車引き出す夜明けかな 金澤洋子風評の不連続音春 …

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『海原』No.18(2020/5/1発行)

◆No.18 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 冬ぬくし現状維持でもう一年 東祐子百万本の霜の花なりサンタマリア 石川青狼橙や鼓動ことりと加齢して 伊藤淳子かって火を焚く土葬の夜は猪眠る 植田郁一霜柱踏むリセ …

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『海原』No.17(2020/4/1発行)

◆No.17 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 こんな世ですみません八月十五日 石川修治恍惚の影をこぼして大根干す 市原光子訝しむようなさびしさ冬木の芽 伊藤淳子風に家路なし新宿は枯野なる 伊藤道郎ところどこ …

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耳打ち すずき穂波

『海原』No.17(2020/4/1発行)誌面より◆第1回海原金子兜太賞受賞第一作〔3回連作・その3〕 耳打ち すずき穂波 日向ぼこして恐るべき甕夫婦とは畳の上で死ねるってこんな福笑無冠美はし寒鴉の羽繕ひ浅春の炭都老女に …

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『海原』No.16(2020/3/1発行)

『海原』No.16(2020/3/1発行) ◆No.16 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 スクラムを押すごと全山紅葉す 石川青狼 蔦かずら女系家族は不滅です 石橋いろり 大花野今泥流のびょうびょう 伊藤巌 …

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QRコード すずき穂波

『海原』No.16(2020/3/1発行)誌面より◆第1回海原金子兜太賞受賞第一作〔3回連作・その2〕 QRコード すずき穂波 黒葡萄門外不出といふやうに 忘我かな白桔梗浮いてゐる QRコード蓑虫の実体蠢く 稲穂波わたし …

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流し台 すずき穂波

『海原』No.15(2020/1/1発行)誌面より◆第1回海原金子兜太賞受賞第一作〔3回連作・その1〕 流し台 すずき穂波 ヒロシマの影に木耳の吸湿性 小腹すくバナナ・ボートは労働歌 全身筋肉の尺取諧謔に行くべし 落蝉存 …

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孵ろうか 望月士郎

『海原』No.16(2020/3/1発行)誌面より ◆特別作品20句 孵ろうか 望月士郎 第1回海原新人賞受賞 春の闇そっとたまごを渡される 朧夜の卵に貼ってある「光」 鳥雲に托卵されてわが目玉 触りにくるさくらさくらと …

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水を汲む 三枝みずほ

『海原』No.16(2020/3/1発行)誌面より ◆特別作品20句 水を汲む 三枝みずほ 第1回海原新人賞受賞 初秋の花の匂いの髪を梳く 雨粒のゆっくり赤へ曼珠沙華 ひざまずき少女は秋の水を汲む 雨音の遠く花野にソルフ …

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留守にして 室田洋子

『海原』No.16(2020/3/1発行)誌面より ◆特別作品20句 留守にして 室田洋子 第1回海原賞受賞 さえずりや冷たい頬に触れながら 守備範囲いつしかずれて鳥雲に 桐の花だんだん靄る夫の声 先生がふいに屈伸麦の秋 …

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白い地図帳 水野真由美

『海原』No.16(2020/3/1発行)誌面より ◆特別作品20句 白い地図帳 水野真由美 第1回海原賞受賞 約束を言葉にさるとりいばらの実 食みをれば鹿となりけり霧の底 風と風のあはひの森の椋の実よ 萱野なり渡りし水 …

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乾き 小西瞬夏

『海原』No.16(2020/3/1発行)誌面より ◆特別作品20句 乾き 小西瞬夏第1回海原賞受賞 厄玉の砕けてしまいたる秋思 秋蝶のかすかな脚がふれし母 風が出て囮のこえの潤むとき 風音やひとつ残りし蓮の種 黒鍵にか …

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遊ぶ流木 村上友子

『海原』No.16(2020/3/1発行)誌面より ◆自由作品18句遊ぶ流木 村上友子 昨日まで回遊魚だった流木 オブジェとして春原宿を見て流木 ビル明かりゆらり流木となる途中 流れ流れ木ときに人知を侍はべらせて 時の滴 …

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『海原』No.15(2020/1/1発行)

◆No.15 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 眠れぬから寒夜の除染土と語る 有村王志 生き急ぐ音して秋のシュレッダー 安藤和子 星流る賞罰無しで生きて来し 伊藤雅彦 新老人に致死量の鰯雲 伊藤道郎 避難解除 …

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『海原』No.14(2019/12/1発行)

◆No.14 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 自分史にA面探すかたつむり 綾田節子青蜥蜴どこかが上うわの空でいる 伊藤淳子 フクシマの無言の更地炎天下 宇川啓子 簞笥臭い昭和の浴衣歩きだす 大髙宏允 渋谷の …

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『海原』No.13(2019/11/1発行)

◆No.13 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 全身のまるで黴です偽善とは 綾田節子 驟雨とは肉体昏き草いきれ 伊藤淳子 選句楽しと微笑む遺影仕出し弁当 植田郁一 土蔵の扉開けば父の蛍かな 大池美木 地のこと …

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『海原』No.12(2019/10/1発行)

◆No.12 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 なめくじり志ん生の似顔絵ばかりかな 綾田節子 野のおおかたの時間たまって蛍袋 伊藤淳子 花馬酔木円錐のよう猜疑心 伊藤雅彦 母の日父の日私が死ぬ日私の日 植田郁 …

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『海原』No.11(2019/9/1発行)

◆No.11 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 春愁のゴリラの背中名前がない 綾田節子 たんぽぽの絮よいつよりこの動悸 伊藤淳子 花馬酔木母と触れ合っている言葉 伊藤雅彦 藤の花母性に昏き小部屋あり 伊藤道郎 …

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『海原』No.10(2019/7/1発行)

◆No.10 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 逃げ水の先頭除染土また除染土 有村王志 夜桜や魔界の口を見たような 石橋いろり のどかかな影がほどける猫のヨガ 市原正直 人の世に優生保護法猫の恋 伊藤巌 鬱と …

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『海原』No.9(2019/6/1発行)

◆No.9 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 毀れゆく無韻の時間女ひとは花に 市原光子 ミモザ降る頃か遠国の石畳 大池美木 雲海の底兵馬俑のような原発街 大久保正義 みちのく一列海への黙禱ぬいぐるみ 岡崎万寿 …

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『海原』No.8(2019/5/1発行)

◆No.8 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 数え日やメモ一つ消しひとつ足す 伊藤巌 未帰還の家枯草より覗く 江井芳朗 ペンギンの足のようなる愛探す 榎本祐子 老い仕度されど青鷺立ちしまま 大野美代子 まだ生 …

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『海原』No.7(2019/4/1発行)

◆No.7 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 冬桜アルカリ性の恋をして 伊藤雅彦 突然死こんなにおしゃれ真弓の実 稲葉千尋 鬱の日の部屋の匂いの茸山 榎本祐子 両手に余る葉つきの柚子は祖母のよう 大谷菫 茨城 …

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『海原』No.6(2019/3/1発行)

◆No.6 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 小春日の頁めくればみるみる水輪 伊藤淳子 従姉妹来る手花火程の嫉妬心 伊藤雅彦 妻といるふしぎな自由暮の秋 大沢輝一 ロボットと二人ぐらしや文化の日 片町節子 枯 …

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『海原』No.5(2019/1/1発行)

◆No.5 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 膕の美しき人秋茜 浅生圭佑子 長蛇の列顎を突き出す鮭となり 石川青狼 言い淀むわが浅瀬にも昼の虫 伊藤淳子 ぬくめ酒こつんこつんと二人の会話 井上俊一 大叔母の遺 …

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『海原』No.4(2018/12/1発行)

◆No.4 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出流木は海の文殻九月来る 市原光子台本に風の音なく蝉時雨 伊藤幸毅然と逝く海の蒼さは祖国の青 植田郁一少年の腰の鍵束栗の花 宇川啓子堂内の微光におわす亡師しよ白寿 大 …

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『海原』No.3(2018/11/1発行)

◆No.3 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 胸に夏帽立ち尽くす摩文仁の礎 赤崎ゆういち ルルルルル邯鄲君きみこそナルシスト 石橋いろり 父の手記折れた頁のあり曝書 伊藤雅彦 だめだべよこっちむげ溽暑の原子炉 …

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『海原』No.2(2018/10/1発行)

◆No.2 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 蕨一束ほどの帰心で立っている 有村王志 橡の花幼き母も触れし幹 伊藤巌 いぶかしげに吾が手取る母夏座敷 榎本愛子 風鈴の青が淋しい私小説 大西健司 曼珠沙華母の小 …

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『海原』創刊号(2018/9/1発行)

◆創刊号 目次 ◆海原秀句 同人各集より 安西篤●抄出 蝉の木の下手な奴いる未帰還兵 有村王志 種播いて言葉が少し行方不明 伊藤淳子 ねばっこいねばっこい木の芽雨 江井芳朗 昭和の日裏返しして干す魚 大沢輝一 夏の蝶右か …

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「海原」の俳句

「海原」誌面に掲載された俳句を毎月ダイジェストで紹介します。

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