遊ぶ流木 村上友子

『海原』No.16(2020/3/1発行)誌面より


◆自由作品18句

遊ぶ流木 村上友子

昨日まで回遊魚だった流木
オブジェとして春原宿を見て流木
ビル明かりゆらり流木となる途中
流れ流れ木ときに人知をはべらせて
時のしずくの流木とぎれてはふとエッセー
かわせみの羽根を映して流木は
あの日海底うなぞこ見ていたはずの流木
海月くらげと別れ流れ木夜を穿うがつかな
産土うぶすなのかげろうたたみこむ流木
そらへ流木立てかけておく灯船
何の指示?流木矢印のまま今日も
月を抱く流木絶対の青を求めて
鳥雲に流れ流れ木は父母の湿り
変調徐徐に流木流星の尾を捉えた
秋風と流木いつだって旅支度
流木はじけばメタセコイヤの濃い気流
いまし森も海も孵化するきらら流木
蝶なのか流木めぐりくるメタファ

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