狐鳴く 佐々木宏

古里のその古里 立川瑠璃

ルイージの懊悩 中内亮玄

俳人金子兜太の全人間論ノート⑤ 岡崎万寿

『花野原』大山賢太句集

『海原』No.57(2024/4/1発行)アップしました

2023年冬【第6回】海原通信俳句祭《結果発表》

第33回 ヒロシマ平和祈念俳句大会のご案内

第33回 ヒロシマ平和祈念俳句大会のご案内

本年も平和を祈念する作品を広く募集いたします。投句者全員による互選および特別選者による特選の発表のほか、出席者による当日俳句会もあります。多数の応募と大会への出席をお待ちしております。

とき:2024年7月13日(土) 午前10時~
ところ:広島市中区民文化センター
(広島市中区加古町4―17 ☎082―244―8000)
作品募集:未発表作品2句1組1,000円(何組でも可)
投句締切:5月9日(木)
投句先:〒730―0002 広島市中区白島中町12―15
 川崎千鶴子あて(☎082―222―1323)
特別選者:中村和弘・宮坂静生・高野ムツオ・安西篤・池田澄子・寺井谷子・夏井いつき ほか、多数を予定
顕彰:大会賞(現代俳句協会長賞)・広島県知事賞ほか
主催:広島県現代俳句協会
後援:現代俳句協会・広島県・広島市・中国新聞社など

申込受付終了:2024年4月「海原オンライン句会」

詳細:https://kaigen.art/online/

◆2024年4月「海原オンライン句会」
・申込締切:2024年4月5日(金)24時
・投句締切:2024年4月12日(金)24時
・選句締切:2024年4月19日(金)24時
・句  会:2024年4月20日(土)13:00~15:30 (Zoom開室12:45)
4月申込み:受付終了

句会報:2024年3月「海原オンライン句会」

2024年3月は3/16(土)にZoom句会を実施。
今回も回答任意でアンケートを実施。
Q:いつ、どこで俳句を作ることが多いですか? 結果はこちら


句会報:2024年3月「海原オンライン句会」

【高点句】(5点以上)

てのひらのくぼみにちやうどひなあられ 長谷歌子

遠足は弁当箱に棲む孤独 花舎薫

目貼剥ぐ硬き背中のネジゆるめ 坂川花蓮

それぞれに道それぞれに春の泥 安部拓朗

木魚打てど打てど蠢く欲の春 伊東リハじ

涅槃西風やわらかくなる靴の音 佐藤詠子

新宿の絆創膏を剥ぐ余寒 柳生正名

撃ち方やめい!しやぼん玉が飛んできた 矢野二十四

【参加者各一句】(高点句以外)

ふらここのひとりとなりて異星人 木村寛伸

亡き夫をヤツと呼ぶ友根深汁 黒済泰子

春風やメロンパン店タトゥー店 宮下由美

尻の下の新聞建国記念の日 大渕久幸

恥辱とは我がうすらひの割るる音 小野こうふう

声上げず投げ合う春の泥まみれ 桂凜火

シニヨンを春まつ指でゆるく結う さかいまゆみ

宅配のハザードランプ春の雪 菅原春み

春の土頭の中で作付けす 坂内まんさく

また本に戻す栞や冴返る 藤田敦子

鳥風や天窓を足す設計図 和緒玲子

貝寄風やぺらぺらめくる予言の書 榎本祐子

春の娘の手に少年の1ピース 小松敦

白詰草ほんとの白になれぬまま 妙子

もだえ神ますますもだえ不知火忌 夏谷胡桃

蛇穴をぞろり出てくる領収証 野口佐稔

父撮りし昭和の姉妹ひな祭り 野口思づゑ

エリカ咲き風が吹きよく笑うひと 平田薫

雪の果あれこれそれで済む夫婦 石川まゆみ

戦世(いくさゆ)の迷い道にをる春の犬 小田嶋美和子

甘えれば古里の雪の温きかな 塩野正春

学僧の木魚の乱れよ笹子鳴く 樽谷宗寛

再建の校舎の息吹下萌ゆる 比良山

アメリカになりしこの日の寒桜 柳咲八

煙草手に走りだしたり沈丁花 六月

薄明の百済観音や猫の恋 石鎚優

薄汚れ上履ききつし卒業式 満葉

   ◇

 今回は35名うち初参加2名。毎回少しずつ参加者が入替わりながらも40名程の均衡をキープ。
 最高点10点「てのひらの」、映像鮮明、柔らかい、可愛らしい、身の程に合った生き方、等。平仮名表記が奏効。試しにやってみたという人!もいたが、普通のことだと思った人は採らない句。8点句「遠足は」、採った人は皆幼少の記憶に実感あり。実感なき人は採らず、むしろ主格の「は」や「孤独」に違和感有りとも。同8点句「目貼剥ぐ」、採った人は概ね、張りや凝りがほぐれ柔らかくなる春を感じ、心のネジが緩む、と共感。反して「硬き背中」は作りすぎ、「剝ぐ」とか「ゆるめ」とか言葉で説明しすぎ、「ゆるめ」るのだから「硬き」は説明的で不要、等々議論百出。他方、ネジを緩めてくれるのは理学療法士でリハビリの実感、との鑑賞には一同爆笑。6点句「それぞれに」、きれいな道や泥の道、人生それぞれの岐路。リフレインが効果的。至って普通と感じた人は採らなかった。5点句「木魚打てど」、「打てど打てど」に思いがこもる。一方、僧侶も俗人とは言うまでもなく当たり前との弁もあり(しかし改めて読むとクドすぎて可笑しい)。「涅槃西風」、「ねはんにし」の音も柔らかい。冬の間硬かった地面が柔らかくなってきた感覚が心地よい。そんなイメージと感覚が具体的に湧かない人は採らない。「新宿の」、「余寒」に癒えない傷を感じる。「新宿の絆創膏」に暗喩のイメージを捉えた人は採り、絆創膏と新宿が繋がらない人には採れなかった句。実際、新宿をよく知らないという参加者も。「撃ち方やめい!」、口語調で軽いけど内容は重い。ガザ、ウクライナ等の戦争への抗議。「しやぼん玉」を飛ばすことでこれらの戦争の馬鹿馬鹿しさを強調。内容には肯きつつも、やや狙いすぎとの声もあり。
 自分が採った句について、採らなかった人の意見を聞くことで、自分の選の癖=作句の課題に改めて気づいた、なるほど「選は創作」(※)だ、という方がいました。これも句会の醍醐味ですね。(記:「海原」小松敦)

※ご参考:「海原」同人で、「海原オンライン句会」にも常連の柳生正名(やぎゅうまさな)氏が講師をしている「朝日カルチャーセンター」新宿教室「俳句1日講座」2024年6月29日のテーマがまさに「選句とは何か 選を磨き作句を伸ばす」となっております。下記ウェブサイトご参照。
「朝日カルチャーセンター」新宿教室 2024年6月29日
柳生正名講師「俳句1日講座 選句とは何か 選を磨き作句を伸ばす」

アンケート結果:2024年3月「海原オンライン句会」

海原オンライン句会では、参加者の要望をもとにして、随時アンケートを行っています。みんなに聞いてみたいテーマがあれば、どんどんご意見・ご要望をお寄せください。

2024年3月「海原オンライン句会」アンケート
Q:いつ、どこで俳句を作ることが多いですか?〈任意回答・順不同〉

〇外を移動中、何かはっとするものに出会ったとき。「作る」というより「できる」ことが多い。

〇ラジオを聴きながら。

〇興の乗った時、締切りが迫った時、うちのリビングで。

〇夜9時~深夜、自宅

〇起床前の布団の中

〇何かしているとき、ふと浮かんでくる

〇夜、ワイン飲むと頭が冴える

〇朝コーヒー飲みながら。犬と散歩する時。

〇いつと言うことは決まっていません。ふと思いつくこともありますが、人と話している時に単語の一つが面白いとメモしたくなります。その方に失礼で出来ませんが…

〇思いたった時に 主に自宅の周辺 公園 海岸など

〇歩いている時です。スマホにメモするようにしています。すぐに忘れてしまうから。

〇昼間、散歩中。夜、布団の中で。

〇自宅のパソコン

〇場所より時間がないのが最大の問題

〇散歩のとき。俳句を作るために、外に出る。

〇庭園などを一時間ほどうろうろした末に、長居できるカフェにて作ることが多いです。

〇通勤途中と夕食の支度中。特に野菜を切っている時。すぐに忘れてしまいますが。

〇家

〇散歩中、散歩後、寝る前の布団の中

〇家、歩きながら

〇家。職場。おおむねインドア派です。

〇早朝枕元で。週末午前に机で集中。いつでも気になったことは紙やスマホでメモ。

以上

望月士郎句集『海市元町三‐一』〈音と言葉と身体 小西瞬夏〉

ペンのあと 佐々木宏

追悼・京武久美さん 齊藤しじみ

俳人金子兜太の全人間論ノート④ 岡崎万寿

《創刊5周年記念》第2回海原全国大会 レポート(一部)

『海原』No.56(2024/3/1発行)アップしました

第6回「海原金子兜太賞」の募集案内

句会報:2024年2月「海原オンライン句会」

2024年2月は2/17(土)にZoom句会を開催。
今回も回答任意でアンケートを実施。
Q:古今東西あなたが好きな俳句TOP5は?(自句以外で有名無名に関わらず) 結果はこちら


句会報:2024年2月「海原オンライン句会」

【高点句】(5点以上)

跳べそうな気もする春の水たまり 和緖玲子

鼓笛隊の先頭を行く紋白蝶 妙子

日向ぼこだらりどら猫どら息子 花舎薫

ヒヤシンスあの人らしい蔵書印 夏谷胡桃

カラフルなこの街が好き紙風船 野口思づゑ

「ふかふかのカフカ」と名付け雪兎 柳生正名

吊革の人みな揺るる蜃気楼 矢野二十四

【参加者各一句】(高点句以外)

まだ何も記さぬノートあたたかし 小西瞬夏

胸の蓋開けると機械冬銀河 小松敦

年の豆数へるほどにあやふやに 坂川花蓮

恋猫がまず踏んでいく朝の雪 野口佐稔

狐火ちろちろ胸倉という小暗がり 榎本祐子

咳き込んで三十九度の放屁なり 小野こうふう

がんばるべ春一番は向かい風 川嶋安起夫

チョコあげるダイヤちょうだいバレンタイン さかいまゆみ

秒針が自己主張する寒厨 佐藤詠子

墓じまひして旅人や蜜柑山 長谷歌子

春の展開図あたたむる冬芽よ 比良山

冬晴や破顔の豚の祀られて 宮下由美

痩せ牛のごつごつ蹲る春野 安部拓朗

着ぶくれの火傷の耳へ鳴る主文 石川まゆみ

山茶花の朱唇に水をふくませよ 石鎚優

詫びマニュアルの頭の下げ具合しずり雪 石橋いろり

おむすびを割れば漂う春の色 伊東リハじ

お利巧句見飽きて仰ぐ冬の空 小田嶋美和子

髪切りてフリオ・フロリダ弾く早春 桂凜火

実の名で死ぬという朝梅真白 田中信克

待春やグーパーグーパーの足の指 樽谷宗寛

ゴジラ来て冬日に湾をかき回す 坂内まんさく

節分や我が内の鬼豆喰らふ 満葉

ウルトラマン・太陽の塔・風光る 大渕久幸

背負いたる失意は疾うに春の空 木村寛伸

日脚伸ぶ宇治の団子の緑濃し 塩野正春

風花や少ししなびたポテトS 藤田敦子
   ◇
 今回は34名の参加。いつも通り3句出し5句選。ZOOM句会参加者の句は無点句も含め全句合評。作風も様々だが選の傾向もとりどりで毎回ワクワクする。そして何よりも楽しいのが他人の選評。自分では目もくれなかったような句が、選評で好句に変身するミラクル!この句をそんなふうに読むのか!?と目から鱗だったり。採らない理由も忌憚なく痛快。点数の少ない句の方が(何故わざわざその句を採った?)面白かったりもする。
 さて、最高点句は7点「跳べそうな」、潦か雪解水か、春だからこそ跳べそうと思う、柔らかで前向きな気分に共感。「も」に少しの不安あり。「春の水たまり」に気づいたことが素晴らしい。一方、水たまりを跳ぶのはよくある、新鮮さを感じないとの意見も。同じく7点「鼓笛隊の」、最近はあまり見かけない鼓笛隊、しかも紋白蝶が先導するなんてファンシーだけど、音楽も映像もすぐ浮かび動きがある。ちょっとノスタルジック。句全体で春を表している。採らない人からは、既視感あり、素直すぎるとの声。5点「日向ぼこ」、リズミカル。作者と共に面白がる句、それ以上ではない句(だがそれでよし)。「ヒヤシンス」、花言葉やギリシャ神話を背景に、読者各様に勝手なエピソードを展開。今は亡き「あの人」を偲んでいる。借りたまま返せなくなった。洋書だ、ダンテだ、等々。「カラフルな」、暗い時代の明るさ。「紙風船」で和風な色合いも。「この街」の抽象性については賛否両論あった。「カラフル」は街の雑然さを批判的に詠んでいるとの解釈も。「ふかふかのカフカ」、音の面白さ一本勝負。こういう句もあっていい。ロッテのキャラクター? 「吊革の」、人間の春の逡巡感。吊革に掴まる人々がふと蜃気楼の中に揺れている不思議。
 ほか、低得点なるもさりげなく味わい深い句がたくさんあり賑やかな合評となった。金子兜太の「平明で重いもの」や昨年の全国大会で出たキーワード「実景の中に暗喩」(※)を思い起こした。(記:「海原」小松敦)

※2023年第二回「海原」全国大会の詳細レポートは海原2024年3月号(第56号)をご参照。

アンケート結果:2024年2月「海原オンライン句会」

海原オンライン句会では、参加者の要望をもとにして、随時アンケートを行っています。みんなに聞いてみたいテーマがあれば、どんどんご意見・ご要望をお寄せください。

2024年2月「海原オンライン句会」アンケート
Q:古今東西あなたが好きな俳句TOP5は?(自句以外で有名無名に関わらず)〈任意回答・順不同〉


〇樹といれば少女ざわざわ繁茂せり

〇一生に打つ一億字天の川(堀田季何)、万有引力あり馬鈴薯にくぼみあり(奥坂まや)、たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ(坪内稔典)、海暮れて鴨の声ほのかに白し(松尾芭蕉)、大の字に寝て涼しさよ淋しさよ(小林一茶)

〇囀りをこぼさじと抱く大樹かな(星野立子)

〇おおかみに螢が一つ付いていた(金子兜太)、雪よりも白き骨これおばあさん(成田千空)、月光の象番にならぬかといふ(飯島晴子)、蒸籠より出したばかりの春の月(金子敦)、春浅し無敵の動物ビスケット(河原珠美)、いますぐ思い出せる句はこれだけです。他にもあるのですが、とりあえず。

〇これがまあ終の栖か雪五尺など、一茶の句

〇春一人槍投げ槍に歩み寄る、新宿は遥かなる墓碑鳥渡る、ものの種握れば命ひしめける、運動会午後へ白線引き直す、夏の河赤き鉄鎖のはし浸る

〇うーん、急に言われても。白梅や老子無心の旅に住む(金子兜太)、夏の山国母いてわれを与太と言う(金子兜太)梅一輪一輪ほどのあたたかさ(服部蘭雪)、苺ジャム男子はこれを食ふ可らず(竹下しづの女)、元日の生みたて玉子夫の掌に(金子はる)

〇君が手もまじるなるべし花芒、濡紙に真鯉つつみて青野ゆく、子に学資わたす雪嶺の見える駅、たんぽぽの黄を挿して愛ず一コップ、むささびや親しき影と添ひ飛びて

〇突っつけばくずれる芸者冷や奴、マネキンの囁きあへる朧かな、これがまあ終の栖か雪五尺、さまざまなこと思い出す桜かな、夏草や強者どもが夢の跡

〇長寿の母うんこのようにわれを産みぬ、じゃんけんで負けて蛍に生まれたの、……

〇熱燗の夫にも捨てし夢あらむ(西村和子)、死ぬ時は箸置くやうに草の花(小川軽舟)、雪掻へごくらうに様つけていふ(辻田克巳)、春の山たたいてここへ坐れよと(石田郷子)、いのちひとつ爆忌ふたつや今朝の秋(石寒太)

〇冬菊のまとふはおのがひかりのみ

〇しんしんと肺碧きまで海のたび(篠原鳳作)、蝶堕ちて大音響の結氷期(富沢赤黄男)、水枕ガバリと寒い海がある(西東三鬼)、手をのこしゆく人ありて汐干狩(阿部青鞋)、涙なし蝶かんかんと触れ合いて(金子兜太)

〇無患子を拾ふきらひな子のきれい(柏柳明子)、人許す西瓜の種をふつと吐き(椎名果歩)、おでん煮るいぢわるがなくなりますやうに(野名紅里)、マスクもうはづさうかもう海だから(神楽坂リンダ)、追伸のやうに短く囀れる(小島明)

〇夕狩の野の水たまりこそ黒瞳(金子兜太)、炎昼の馬に向いて梳る(澁谷道)、天に声あふるるときは雪とならむ(北村美都子)、白服の胸を開いて干されけり(対馬康子)、東京暮らしはどこか棒読み蜆汁(宮崎斗士)

以上

句会報:2024年1月「海原オンライン句会」

2024年1月は1/20(土)にZoom句会を開催。
今回も回答任意でアンケートを実施。
Q:あなたにとって「秀句」とはどのような句ですか? 結果はこちら


句会報:2024年1月「海原オンライン句会」

【高点句】(5点以上)

マフラーをほどくわたしを明け渡す 宮下由美

日記買ふ三百六十五のあした 花舎薫

着ぶくれと着ぶくれそっけない街に 安部拓朗

家系図の未完に終り蝉氷 小松敦

松過ぎの厨に残る子等の箸 佐藤詠子

母病んでうろうろこんなにも冬星 安部拓朗

論文の始まりのよう冬木の芽 佐藤詠子

一刷の紙面匂へる霜の朝 藤田敦子

鯛焼の板はざぶんと裏返る 瑞穂

【参加者各一句】(高点句以外)

八代亜紀唄ふブルース炭が爆ず 和緒玲子

けさの春土に還らぬものの群れ 石鎚優

思い出し笑いの寝顔ねこやなぎ 石橋いろり

ポインセチア嘘をつくのが仕事です 大渕久幸

侵略を炬燵で眺む我の貌 小野こうふう

冬日差し背中にあてて文庫本 川嶋安起夫

赤ん坊の軽さ重みを知る初湯 塩野正春

冬の虹街は瓦礫でつながれて 田中信克

赤糸のしゆつと通つて縫始 長谷歌子

蝋石で描く階段白鳥来る 夏谷胡桃

小さな神社の小さな列初詣 野口思づゑ

湯豆腐のやうな人なり冬の宵 矢野二十四

春近し大看板にめしうどん わらしべ

風は友だち笑いよじれる裸木 石川まゆみ

寒鯉の目玉ぎろりとこぼれそう 桂凜火

全壊の屋根の重さや嫁が君 木村寛伸

またひとつまたひとつまた雪をんな 小西瞬夏

突っつけば嫌がる虫これ意思疎通 坂内まんさく

海が海であり黒鉄黐に赤い実 平田薫

亡き母の小袖のにほひ小正月 満葉

幼子の鼻歌ぽつり冬菫 伊東リハじ

こころという名の子の呉れし冬林檎 榎本祐子

冬曇りレーズンサンド微笑感 葛城広光

夜道の途私を止める寒椿 圭子

淑気満つスタート砲待つ大手町 さかいまゆみ

狐火を追ひつつ我を忘れけり 坂川花蓮

初春のつましき茶店日が渡る 樽谷宗寛

断層に怯え原子炉虎落笛 野口佐稔

供えたる栗饅頭の皺七日 比良山

輪島より来し年賀状音無くす ふわり

見送りてつららつららの十勝晴れ 看做しみず

冬至日の影は昇平グラブ持ち 後藤雅文

除夜の鐘言いたくない気分おめでとう 谷口道子

東京ドーム三個の餡子宇津田姫 藤川宏樹
   ◇
 今回は41名、うち新規参加者が8名(いずれも海原ではない方々)。参加地域はグローバルで、ロサンゼルス、ハワイ、シドニー、日本全国各地より。初心者からベテランまで句柄も多種多様であった。金沢からの参加者はもとより元日の大地震を心配する句、能登に限らず東欧や中東の瓦礫に思いを寄せる句も多く、平和を願う強い気持ちを共感した。
 さて、最高点句はぶっちぎりの15点「マフラーを」、「ほどく」「明け渡す」に読者それぞれのイメージが膨らんだ。迷いを捨てた、さらけ出した、解放された、等々。土地や家に使われる「明け渡す」の措辞が絶妙。明け渡したくない、など気持ちがついていかない人は採らなかった。8点「日記買ふ」、「あした」でポジティブな気持ちになった人は採った。採らない人からは説明的だとの声。7点「着ぶくれと」、着ぶくれて互いに無関心でも触れ合う街の情緒、「そっけない」に哀愁。7点「家系図の」、「蝉氷」の斡旋良し。綺麗だけど付き過ぎ、家系図の句はよく見るとも。6点「松過ぎの」、生活感が端的に現れていると思う人は採った。5点「母病んで」、「うろうろ」しているのは子か母か、いずれにせよ「こんなにも冬星」が悲しい。「論文の」、やがて膨らみ葉や花に展開してゆく「冬木の芽」の喩えに納得した人は採った。「一刷の」、寒々とした体感を覚える。早刷は無論「朝」なので重複感ありとも。「鯛焼の」、「ざぶんと」およげ!のリズムが楽しい。「板」か「型」かとの声もあり。今回も合評の中に様々な気づきがあり楽しかった。
(記:「海原」小松敦)

アンケート結果:2024年1月「海原オンライン句会」

海原オンライン句会では、参加者の要望をもとにして、随時アンケートを行っています。みんなに聞いてみたいテーマがあれば、どんどんご意見・ご要望をお寄せください。

2024年1月「海原オンライン句会」アンケート
Q:あなたにとって「秀句」とはどのょうな句ですか?〈任意回答・順不同〉


○映像にリアリティがあり(現実的という意味ではなく実感があるということ)、その中に入り込む快感があり、読み手の自由が保障されていること。

○文法に則っていて(文語体、旧仮名遣い、が好きです)リズムのいい句。

○一読して 風景が浮かぶ、共感の持てる句。

○景が見える句、象徴性の豊かな句、現代人の心象風景が表現されている句 。

○よくわかりません。

○映像が浮かび、吟じやすい、舌に馴染む句。平易な句。

○目に見える物でも見えないものでも斬新な切り取り方で見せてくれている句。発見と驚き。パーソナルな題材であればある程良い。

○一読して、そうそう!全くそうよね、と思う句が、まずは良い句と思ってチェックしますが、何度か読んで飽きることがあります。逆に地味な印象の句が最終的に立ち上がってくることもあります。何度読んでも嫌でない句、しかも目を開かせてくれる句が、秀句かなと思います。

○一読しても理解出来ない句。

○発想に可能性が感じられる句、すなわち飛躍、転換が見事な句です。

○こころの琴線を震わす句。

○日常生活で同様のシーンに巡り合ったとき、一緒にいる人につぶやいてあげられる句が好きです。

○ドキッとして、じわっとする句。

○作者のリアリティが詩的に昇華しているような句です。

○季語と取り合わせのキーワードが不即不離で響き合う句。

○日常の中の非日常を切り取った句。

○難しい質問ですが、奥深い言葉の表現で、リズムや季語が合った句とでも申しますか。あまり心情が離れた句、意味がすっきりしない句は、私は好みません。時にはユーモアも欲しいです。

○自分には作れない詩を持っている作品。

○感性の一致。

○五七五のリズムがあって、情景が浮かんだり、心情が伝わったりしたあとに、感慨や気づき、余韻が残る句。

○自由に読める句。奥行がある句。読者それぞれの物語が折り畳まれている句。感覚や記憶を刺激してくる句。

○二物衝撃。

○写生という土台に作者のオリジナリティが乗って。言葉は平明で割合は多からず少なからず。いろいろな読みが出来て其々に共感がある。

○客観的に見て自分が目指したいものに近いもの。

○自分にとって意味のあった句。例えば、知らなかった言葉、「蝉氷」などを示してくれた、とか。

○簡潔な表現で対象に深く迫っている句。

○私にとっては、他より秀でている句というのは無くて、好きな句があるだけです。

以上

追悼 らふ亜沙弥 遺句抄

俳人金子兜太の全人間論ノート③ 岡崎万寿

カーンと秋 佐々木宏

特別寄稿◆ナガサキの浦上天主堂を詠む―秋櫻子・伊昔紅・兜太・皆子― 石橋いろり

石川まゆみ句集『光あるうち』〈広島を生きる 河原珠美〉

2024年 第2回「兜太祭」のご案内

『海原』No.55(2024/1/1発行)アップしました

句会報:2023年12月「海原オンライン句会」

12月は12/16(土)にZoom句会を実施。
今回も回答任意でアンケートを実施。
Q:あなたにとって「新しい俳句」とはどんな俳句ですか? 結果はこちら


句会報:2023年12月「海原オンライン句会」

【高点句】(5点以上)

手袋の人待つやうに置かれをり 小松敦

海鼠嚙む日和つてる奴いねえよな 柳生正名

ポインセチア睡眠薬の効かぬ部屋 あずお玲子

りんごシャリシャリあの時の嘘ごめん 三枝みずほ

床屋出て己の座標探す冬 佐藤詠子

雪催また調音を乞う楽器 中村晋

少しだけ未来を歩く寒月光 藤田敦子

冬林檎さびしいときに笑ふ人 宮下由美

寒紅を引きて女将の貌となる 矢野二十四

【参加者各一句】(高点句以外)

物価高サンタはトナカイ解雇して 満葉

医者に行く前に此処冬の日溜り 野口思づゑ

手押しの荷また積んでゆく師走かな 石川まゆみ

望郷や大根一本素ッ裸 石鎚優

小春とは豚の角煮のよいところ 大渕久幸

「もう行こう」「もうすこしだけ」木の葉ちる 小野こうふう

枯芙蓉朝が希望であった頃 妙子

袋詰め歳末大売り出し無言 田中信克

凍星やみんなが見てるジェノサイド 夏谷胡桃

一日中ジムにゐる老人(ひと)冬隣 坂内まんさく

なだらかに木は次の木へ十二月 平田薫

埋火や祖母の手のしわ指のふし 看做しみず

諍いのはじまり柿の種に刃当たる 榎本祐子

狼の足跡山に消えにけり 加瀬みづき

横顔の白く閉じられ冬の蝶 桂凜火

面構え真田昌幸枯蟷螂 後藤雅文

くらがりに母が捨てきし湯婆のゆ 小西瞬夏

すっぽん鍋竜宮行きはあきらめろ 樽谷宗寛

被爆者の友は辺野古へ冬の朝 野口佐稔

青・色・信・号・点・滅・冬夕焼 藤川宏樹

鉄棒に触るる跳躍月氷る 瑞穂

カトレアや海の記憶のこぼるる夜 安部拓朗

冬病棟あまたの管は翼得る 石橋いろり

宿帳に与太としたため寒鴉 木村寛伸

凩一号吾がスケルトンの隅々に 塩野正春

着ぶくれて人の溢れる場所に行く 菅原春み

寒椿一輪ホーと緩む頬 谷口道子

小さき幸空へ小春の観覧車 伊東リハじ

母親に全て委ねて眠る稚児 葛城広光
   ◇
 今回も3名の初参加あり、少しずつ裾野が広がっているのを感じる。初参加で高点句もあり面白い。
 38名114句。一人5句選。最高点は10点「手袋の」、手袋が誰をどんな状況で待っているのか、映画の映像構成を想起、主を待っている、暖冬の売り場で客待ち、落とし主を待っている、使い込まれて捨てられそう、等。読者の想像力を掻き立てたようだ。採らない弁は、手袋とはそういうもの、既視感あり、等。6点「海鼠嚙む」、二物衝撃が上手い。「いねえよな」が恫喝なのか同調を求めるのかによって「海鼠嚙む」の味わいが変化する面白さあり。「日和つてる」状況に深読みも可。某ドラマのセリフを思い出し素直に読めなかったとの声も。5点句「ポインセチア」、採らない人は「ポインセチア」と中七以降が繋がらぬの声。採った人の解釈は様々。ポインセチアの毒々しさに不眠感、イライラさせる人から貰ったポインセチアだから、「効かぬ」は「不要」の意、など選評が面白い。「りんごシャリシャリ」、軽やか、たぶん嘘も軽い。いい人間関係。シャリシャリしてる今こそが詫び時。もっと具体的にとの声も。「床屋出て」、心新たにリスタートする感じがうまく表現できている。「座標」が大袈裟か。「雪催」、弦楽器への愛着。「楽器」とは「自分」だとの解釈に対し、先ずは実景として読むべきだとの意見あり。「少しだけ」、前向きでいい。「寒月」でなく「寒月光」なのは「歩く」者の少しだけ前方に落ちる影をイメージしているのでは。企業スローガンみたい、とも。「冬林檎」、あるあるだけど「冬林檎」が効いていると思った人は採る。「寒紅を」、「寒紅」を「季題」とした一句一章の様式美の世界。また、高点句ではないが「狼の足跡山に消えにけり 加瀬みづき」は、薄味だけど味わい深い、兜太へのオマージュ、とのコメントあり。
(記:「海原」小松敦)

アンケート結果:2023年12月「海原オンライン句会」

海原オンライン句会では、参加者の要望をもとにして、随時アンケートを行っています。みんなに聞いてみたいテーマがあれば、どんどんご意見・ご要望をお寄せください。

2023年12月「海原オンライン句会」アンケート
Q:あなたにとって「新しい俳句」とはどんな俳句ですか?〈任意回答・順不同〉

○あまり新しい古いもなく、良いものはいいという感じです。

○みたことのない表現、技巧、素材、うーん難しいです。

○新しい=新鮮に感じる、という理解であれば、ひとそれぞれの新しさがあるだろう。

○俳句を始めた頃「既視感」という語に出会い、なるほど見たことあるものに感動はないと自覚しました。それからは見たことないを素人なりに目指していますがそう上手くはいきません。「新しい俳句」は不勉強でわかりませんが、そんな「つもり」を心がけていたいと思います。

○新しさというよりも、論理を超えて感覚を覚醒させるような句に魅力を感じます。また、兜太師の句には、言葉に圧倒的な存在感があり、技巧を超えたパワーを感じます。そこに師の高い詩精神を感じます。この二つが頭の中をぐるぐる回っていますが、私自身は写生+αの辺りをうろうろしています。

○次の4条件を満たす短詩である。
1、5・7・5は最大限に努力して守るべき土俵。
2、現代の状況の認識が句作の土壌になっている。
3、人、物、事の本質が個性的に表現または追求されている。
4、その表現または追求によって必然的に生じる抒情が個性的に表現されている。

○新しい俳句は希望しません。時に哲学的な、あるいは他の芸術をツールとした句を見かけますが感慨浮かびません。今の世界、今の日常を楽しく、また鋭く読みたいですね。

○シュールレアリズム

○自分でも詠みたいと思っていたことを巧く詠んでいる俳句。それと笑える、またはニヤッとさせてくれる俳句、ですかねえ。

○新しいかどうかを意識したことがありません。

○今の時代をつかみ取った俳句。その中で明日の希望が感じられる俳句。

○季語や時事、一般的な生活感情といった、既に共感性が確立されているイメージに、読者の理解を委ねるのではなく(現在の俳句は、この「委ね方」の技と作法の鍛錬にほぼ集中していますよね)、まず作者の視点・発見・感覚が新奇・固有であり、それが「俳句の形」で読者側に、理解・共感・寄り添いを誘ってゆくような、そんな俳句。(言っていることが、面倒くさくて、分かりづらくてすみません。)

○「海原」そのものだと思います。時代の変化の中に、うごめく自分を詠むことです。年齢や境遇は関係ないですね(笑)。

○新しさを求めたことがないので、わかりませんが、瞬間的に新しいものも、次の瞬間は古いものであり、相対評価でしかない。その一瞬輝くが、その結果もう目新しさはなくなり、飽きられることもある。

○俳句はあれもこれもしてはいけないことがあって、むつかしい。じゃあ何でもいいかと言われると又もっと難しい!色々作ってみるしかないのか?迷います。

○当然私の目にも入っている事や物なのに、全然気づかなかったところを取り上げて書いている句。新しい言葉をいち早く使うことも、入るかなと思うが、それだけではないような気がする。ただ、陳腐な古い言葉を使うのは確かに、古い感じの俳句かなと思う。新しい、って、何? いい質問ですね。考えます。

○その俳句を読むことで、自分のからだに潜んでいた無自覚な世界の記憶が蘇生されつながり合い動き出す、そのざわめきに驚く、そんな俳句。

以上

俳人金子兜太の全人間論ノート② 岡崎万寿

『海市元町三-一』望月士郎句集

追悼 木村和彦 遺句抄

追悼 松本孜 遺句抄

『海原』No.54(2023/12/1発行)アップしました

中内亮玄句集『北國幻燈』〈師の掌で転げる 柳生正名〉

『金子兜太と宮崎』 福富健男編著

【申込み受付中】2024年1月「海原オンライン句会」

年齢・所属など関係なくどなたでも参加できます。無料。
詳細はこちらで:https://kaigen.art/online/

2024年1月の申込み受付開始しました

◆2024年1月「海原オンライン句会」
・申込締切:2024年1月5日(金)24時
・投句締切:2024年1月12日(金)24時
・選句締切:2024年1月19日(金)24時
・句  会:2024年1月20日(土)13:00〜15:30 (Zoom開室12:45)
1月申込み:https://forms.gle/uz2Nicrt61o65KmeA

句会報:2023年11月「海原オンライン句会」

「海原オンライン句会」11/18(土)にZoom句会を実施。

 今回も回答任意でアンケートを実施。
 Q:「俳句関連のお気に入りの本やお薦めの本」 結果はこちら


句会報:2023年11月「海原オンライン句会」

【高点句】(5点以上)

絵も本もピアノも売りて日向ぼこ 大浦ともこ

秋の空土偶笑って掘り出され 夏谷胡桃

「ひやっとしますよ」平和な国の心電図 野口佐稔

鶏頭がお告げのように立っている 榎本祐子

木の実ふるゆるき傾斜のすべり台 宮下由美

どこからが自由不自由マスク取る 桂凛火

エレベータ全員無言冬に入る 菅原春み

母の黙あつめて冬の入日かな 田中信克

夜長し水槽に立つ亀の腹 瑞穂

【参加者各一句】(高点句以外)

大原女の足の速さよ夕時雨 樽谷宗寛

老犬が瞬きをする金木犀 平田薫

今もゲルニカ笑って生きてる柘榴の実 増田暁子

鼻先を冬眠前の毛物臭 石川まゆみ

軒裏に日の斑ゆらぐや池は秋 伊東リハじ

古楽器の響きの如く水澄めり 川嶋安起夫

枯蟷螂己の影にしがみつき 佐藤詠子

秋晴れや物干し竿の雨の跡 満葉

吹かれたる散りたる狂ひ花の白 看做しみず

木葉木菟見てから父母ばかり詠む 柳生正名

口づけはかるく黄落降り止まぬ 安部拓朗

古民家に農具転寝や五倍子の花 小田嶋美和子

冬日和たんぽぽ薬局に石鹸 奥山和子

鏡では二人になっている話 葛城広光

神無月そろそろ異議を申したい 木村寛伸

花束は一斉に枯れ日短 小松敦

秋の旅トイレ惑わすピクトグラム 塩野正春

阪神日本一今日の車庫入れパーフェクト 谷口道子

冬至五時都市に始まる第二幕 野口思づゑ

じじばばの長き抱擁吾亦紅 石鎚優

北欧の隙なき景色いわし雲 小野こうふう

小鳥来る体育すわりに畳まれ子ら 藤川宏樹

猪が行く逃げ口上は嫌いなり 矢野二十四

小春とは自転車に乗るガスタンク 大渕久幸

寒山拾得になったつもりの秋一日 坂内まんさく
   ◇
 SNS等をきっかけに「海原」ではない方の参加も増えてきた。「海原」では見かけないような違った作風が吹き込み、お互い刺激になればと思います。
 今回は34名百二句の参加。最高点は10点「絵も本も」、売却後のがらんとした空間には心の空間をも感じさせる。終活の断捨離、いや引越しだ、いやいや、「も」で畳みかける思いの深さから、亡き人の遺品整理に違いない、と解釈が様々。解釈によって「日向ぼこ」の気分が変わってくるのも味わい深い。採らない弁は、よくある断捨離風景で心動かず。9点句「秋の空」、笑っているのは土偶かそれとも掘っている人か、の議論あり。どちらともとれる。太古からの見守り、祈り、安心感、人類への希望、嘲笑など各々自由に鑑賞。「秋の空」がやや雑では、との声も。8点句「ひやっとしますよ」、電極の肌触りを意味するだけでなく、心電図の波形に恐怖や驚きを感じる、その波形を見てみたい。上五に「たくらみ」を感じるが良し、平和ボケを皮肉る句の多い中これは秀逸との声あり。7点句「鶏頭が」、鶏頭に「お告げ」を感じ取れた人は採り、感じ取れない人は採らない句。鶏頭に「祈祷師の杖」をイメージした人もあり。6点句「木の実ふる」、採った人は「ゆるき傾斜」に穏やかさ優しさを感じている。「ふる」「ゆる」「すべり」の音韻が心地よさを醸し出す。5点句「どこからが」、マスクだけで現在の生活風景をよく描き出している。「取る」がやや分かりずらいとの声も。「エレベータ」、「冬に入る」が季節の急激な変化に引きこもりがちな気分を表している。マナーとしての無言を当たり前に感じた人は採らず。「母の黙」、上五に感情移入し易い。暗いという声も。「夜長し」、情景がよく見える。「夜長し」の斡旋に賛否あり、夜長だからこそ亀の腹を見るに至ったのだとの意見に感心した。
 句の鑑賞において、読者それぞれの経験や状況の中で感じ取ることは自由でよいと思うし、聞いていて面白いが、書いていないことをあまりにも深読みしすぎじゃないかとの意見もあり、印象的だった。
(記:「海原」小松敦)

アンケート結果:2023年11月「海原オンライン句会」

海原オンライン句会では、参加者の要望をもとにして、随時アンケートを行っています。みんなに聞いてみたいテーマがあれば、どんどんご意見・ご要望をお寄せください。

2023年11月「海原オンライン句会」アンケート
Q:「俳句関連のお気に入りの本やお薦めの本」〈任意回答・順不同〉

○「言語の本質」中公新書 AIと人間の言語の本質的違いを「接地性」と身体性の視点で分析。現代俳人必読の書。朝日カルチャーの一日講座で取り上げます。

○夜眠る前は、漫画が必需品です。今は、西岸良平の『夕焼けの詩』か『鎌倉ものがたり』です。少し前は、ラズウェル細木の『酒のほそ道』でした。

○「芭蕉の風景」上下巻(小澤實・著)、「俳句ミーツ短歌」(堀田季何・著) 

○金子兜太句集『百年』

○『俳句のための文語文法入門』佐藤郁良・角川ソフィア文庫

○『今日の俳句』金子兜太・光文社、『金子兜太の俳句入門』金子兜太・角川ソフィア文庫、『感性時代の俳句塾』金子兜太・集英社文庫、『他流試合』金子兜太・いとうせいこう・講談社+α文庫、『荒凡夫一茶』金子兜太・白水社、『熊猫荘俳話』金子兜太・飯塚書店、『俳諧史』栗山理一・埴書房、『金子兜太』安西篤・海程新社、『兜太再見』柳生正名・ウェップ

○やはり、堀田季何さんの『人類の午後』が面白かったです。現代俳句協会を脱会しましたが、岩手現俳の人に入るようにお願いされていました。堀田季何さんがいるのなら希望があると再入会しました。

○対馬康子さんの第四句集『竟鳴』を読みたいのですが、絶版しておりなかなか手に入りません。

○「dlsiteイイロ」でネット句集を百十円で販売しています。宜しくお願いします。

○最近のものでは、句集:土井探花「地球酔」、雑誌の特集記事:俳句四季11月号「諸家書架2」。

○「金子兜太 俳句説法」(さきたま出版会 昭和62年初版) 兜太先生が講座に集まった方への句の選評や添削がたくさん書かれています。まるで俳句会にいるみたいに先生の空気感を思い出す本で、今なお勉強になります。先生の故郷への想いが書かれていて、じわ~っときます。

○俳句を学ぶ上で出会って良かったと思う本を紹介します。まずは、藤田湘子の「20週俳句入門」(学習研究社)と「実作俳句入門」(同)。この二冊で湘子は入門期の俳句の「学び方」を懇切丁寧に指導しており、私自身も句作の基本をしっかりと学ぶことができました。類書の中でも特に秀逸なものだと思います。近現代の主要作家の作品を学んでおくという意味では、水原秋桜子の「近代の秀句」(朝日選書)と山本健吉の「定本 現代俳句」(角川選書)が良かったと思います。これらを熟読したことは、その中身はほとんど忘れてしまったとしても、自身が俳句を作るの上での「基盤」にはなっていると思います。最後に私の俳句の恩師、熊谷愛子先生(故人)の句集「旋風」(花神社)と「地燭」(角川書店)を紹介します。私は個人的には熊谷先生の俳句こそ当代随一と思っていますが、俳壇では忘れ去られつつあるのが残念です。なんとかそのすばらしさを再認識していただきたいと願う俳人と作品です。

以上

新連載 第1回:俳人金子兜太の全人間論ノート 岡崎万寿

追悼 永田タヱ子遺句抄

『海原』No.53(2023/11/1発行)アップしました

第5回 海原金子兜太賞

マブソン青眼句集『妖精女王マブの洞窟』〈「妖精女王マブ」がもたらす可能性 中村晋〉

句会報:2023年10月「海原オンライン句会」

「海原オンライン句会」10/21(土)にZoom句会を実施。
 2023年11月は申込受付中:https://kaigen.art/online/

 今回も回答任意でアンケートを実施。Q:「AI俳句(人工知能が俳句を作ること、作った俳句)」についてどう思いますか? 結果はこちら


句会報:2023年10月「海原オンライン句会」

【高点句】(五点以上)

子を連れて謝りに行く秋夕焼 菅原春み

改行のごとき挨拶さわやかに 安部拓朗

母のことそのははのこと菊を焚く 小西瞬夏

鶏頭や母に楯突く模試の朝 満葉

オムレツを食ふ狙撃兵あかとんぼ 石鎚優

古書市に『暮しの手帖』花紫苑 大浦ともこ

火恋し夜のふくらみ人のふくらみ 小松敦

花野道ヒトに矢印お手洗い 野口佐稔

父と夫同じ芋科の別のいも 野口しずゑ

そうですか不知火ですか僕たちは 矢野二十四

【参加者各一句】(高点句以外)

夜を穿つ月の孤独を私す 榎本祐子

太刀魚のすらりと長し断ち切らる 宮下由美

ゆでたまご秋は普遍が見えてくる 佐藤詠子

老いてゆくなり木犀の香りして 田中信克

疎水べり猫軍団と月を待つ 樽谷宗寛

武装した市民が林檎齧ってる 夏谷胡桃

小鳥来る空はでこぼこしているか 平田薫

満月へ滑走は錆びゆく線路 増田天志

新涼やふと止まりたる朝の箸 伊東孝浩

「いっしょにメシ食うべえよぉ」と小鳥来る 大渕久幸

グラビアの笑窪広がり洞と化す 葛城広光

花野原張り巡らされる導火線 桂凛火

どう見ても終活要らぬ案山子です 木村寛伸

秋蝶の軽さを試す小枝いじわる 塩野正春

人工衛星彼岸花満開の夕空 谷口道子

とこしえの浮き足の白曼珠紗華 柳生正名

返事無き猿よ秋思のあるごとく 石川まゆみ

ロシアンルーレット交差点の白菊 石橋いろり

夜寒さよ簾にすがる猫の陰 小池信平

歳たけて命をここに涸沢紅葉 後藤雅文

ベトナムのこしひかりに似この新米 坂内まんさく

「倫」に見ゆパルテノンふと後の月 藤川宏樹
         ◇
 今回も選がかなりばらけた。九十六句中三点以下が五十六句、うち一点句が二十八句ある。一見、参加者の好みが多様なことをうかがわせるが、高点句には共感・実感を得やすい母・父・夫・子を詠み込んだ句が目立つ。「海原」の俳句にも景より人を詠む傾向が見え、句のテーマ・選の偏りが句の幅を狭めまいかと懸念する意見も出た。
 最高点は九点「子を連れて」、子として親として、多くの共感を得た。共感は出来るものの、ありふれた光景で採れずの声も。八点「改行のごとき」、読者によって様々に「改行」のシチュエーションを思い描く楽しさがあった。一方「さわやか」がありきたりとの声も複数。七点「母のこと」、季語の斡旋がおしゃれ、リフレインの表現に工夫あり効いている。六点「鶏頭や」、実感を感じて採る人の一方で状況説明との声も。「鶏頭や」には賛否あり。五点「オムレツを」、狙撃兵とて普通の人間であるということを言いたいのだと理解は出来るが、強調しすぎ(おおげさ)ではないかとの声、狙撃兵の少女を主人公にした小説の読書体験が影響したとの声もあり。「古書市に」、ずばり『暮らしの手帖』への思い入れの有無が選を分けた。「火恋し」、「ふくらみ」のリフレインが妙とも微妙とも。「花野道」、「ヒトに矢印」の解釈に幅あり。矢印記号などを必要とするヒトとヒト以外の世界の対比がさわやか。「父と夫」、「別のいも」を読者それぞれに面白がっていた。「芋」と言われることに納得感がない、また、「母と妻」にした場合でも面白がれるのか、との抗議あり。「そうですか」、「不知火」の解釈に奥行を感じて良しとする意見に対し、曖昧でよく分からないとの声もあった。会話を大胆に省略して切り出した表記が秀逸との声も。侃侃諤諤だったのは四点句「仮縫ひの待針余す十三夜(小西瞬夏)」。「余す」が巧い、リアリティ有り。一方、綺麗に仕立て過ぎでは、上五中七の状況と心情に対し「十三夜」で良いのか疑問、との声も。
(記:「海原」小松敦)

アンケート結果:2023年10月「海原オンライン句会」

海原オンライン句会では、参加者の要望をもとにして、随時アンケートを行っています。みんなに聞いてみたいテーマがあれば、どんどんご意見・ご要望をお寄せください。

2023年10月「海原オンライン句会」アンケート
Q:「AI俳句(人工知能が俳句を作ること、作った俳句)」についてどう思いますか?
〈任意回答・順不同〉

○創作として、どうなのか。言葉遊びの側面だけが強調されないか。

○作句は人間だろうが、AIだろうがいいものはいいはず。ただ、AIは選句能力が乏しいとか?

○さまざまな事例から紡ぎ出した575。人間らしい句に近づいてきているのが怖いです。

○創作の楽しみが、無い。

○17音、季語とフレーズの取り合わせで或る程度までの俳句は作れるが、それ以上のものはできない。韻律、リズム、手触りなど、AIには作れない俳句を目指したい。

○将棋では人間を凌いでいますが、勝ち負けのない俳句はまだまだでしょう。ですが、いずれ限界のないAIが人間を凌駕するんでしょうね。そうなると俳句を作る楽しみがなくなり、新しく詠む人もなくなり、the endでしょう。

○例えば金子兜太の選句データをすべて深層学習させて、AI兜太選を受けてみたい。現在の技術でもかなりのレベルまで実現可能と思う。私情や嫉妬心は挟まないし、人間の選句より信用できると思う人も結構出るのではないか? 予選用としても大いに活用の余地あり。

○現在の通常の句会レベルの選句を前提にすると、AI作品が人間より点を集めるようになる世界はもう目前だと思う。

○今の将棋界は、AIを巧みに活用することで、「人間が指す将棋」の魅力を際立たせ、ファンも増やしている。今の俳句界にそれだけのIT知識とプロモーション能力があるかは大いに疑問だが。

○以前試しにChatGPTに作句させましたが、機能の低いバージョンだったせいか、ちゃんとした句はできませんでした。これから機能が上がって作句できるようになるかもしれませんが、やはり自分で試行錯誤しながら作句することに俳句の面白さがあると思います。ただ、自分で作った俳句の構造や助詞の使い方、季語や切字の効果など、基本的なチェックに使えたら便利かもしれません。ただし答えは自分で探す前提で。

○どんな景色をみせてくれるかの楽しみと怖さ。囲碁や将棋ではAIにより新しい手が発見されそれを参考に棋士は従来とは違った世界を描いている。俳句もAI作成の俳句により新しい俳句の世界が広がることを願っている。

○全く評価できない。面白みがない。AIは人間のことをどう思っている?

○いい作品だったら、参考にします。

○多分、語彙の豊富さと組み合わせ技術、表現の技巧などでは、人間はAI俳句に勝てないと思います。ただ、今のところ、AIには「こころ」がないので、どうしようもない感情や言いようのない感覚を表現することは難しいと思います。そんなところでしょうか。

○現在、「AIが俳句を作る」という創作面ばかりが論議されているようですが、むしろ「俳句を読むこと」とAI能力との関係の方が興味深いです。俳句の曖昧性や多様性などを、AIはどのように分析し処理するでしょうか。そちらの方がむしろ意味があるのでは?と思っています。

○作った俳句について、人工知能に感想を訊いてみたいです。どのような状況で作りましたか、どんな気持ちで作りましたか、などの質問を投げかけたら、どう答えてくれるかなあ。

○AIは絵も動画も音楽も小説もシナリオもニュース記事もつくれる。インプットした情報から統計的に言葉を繋ぎ合わせる仕組みとその成果物の出来はすごいと思う。好ましい俳句もできるだろう。議論のネタにはなるだろう。だけどあまり興味がない。自分の「つくる」楽しみをAIに任せることはあり得ないので。

○今のところ、AIは俳句を「詠め(つくる/compose)」ても「読め(感じとる/sense)」ない。AIが「読める」ようになってきたら、もっと面白い。というかAIに関係なく「詠み」同様に「読み」についてもっと取り沙汰される方が健全と思う。

以上

戦争が廊下の奥に立つてゐた〜戦後の渡邊白泉〜 齊藤しじみ

第5回 海原賞

第5回 海原新人賞

2023年冬「海原通信俳句祭」開催のご案内

『海原』No.52(2023/10/1発行)アップしました

句会報:2023年9月「海原オンライン句会」

 「海原オンライン句会」9月は16日(土)にZoom句会を実施。

 10月申込受付中。https://kaigen.art/online/

 なお、今回も、回答任意でアンケートを実施。Q:句のテーマや素材は、どのようにして獲得しますか?結果はこちら。よろしければご覧ください。


句会報:2023年9月「海原オンライン句会」

 今回より投句と選句のみでの参加(Zoom句会は欠席)も可能とし、参加者が増え36名となった。
 誰にも分かりやすい句は共感を呼び点数もそれなりに入る一方、内容・テーマがありふれていることも多く、表現のユニークさが猶更重視され、選を左右するようだ。この句会では、句の内容と併せて表現面にも着目し、採った理由よりも採らなかった理由を意識して合評していきたい。

【高点句】(5点以上・冒頭の数字は点数)

14 ほしづくよ母の敬語の刺さりけり 安部拓朗

11 小鳥来て戦争を足もとに置く 夏谷胡桃

7 キューピーの睫毛の疲れ晩夏光 田中信克

6 死ぬまでの主治医爽やかに挨拶 石川まゆみ

6 赤とんぼ交わるどの空も愉快 三枝みずほ

6 新しい靴にて月を呼びに行く 佐藤詠子

6 「ごはんまだ」「またそうめん」がこだまする 満葉

5 蚤市に皇子の写真赤とんぼ 夏谷胡桃

5 炎天の護岸工事の声ふとく 吉澤恭香

【参加者各1句】(高点句以外)

きみとならヌードになれるねこじゃらし 石鎚優

ポケットに空蝉確かめている不安 榎本祐子

右寄りの二死満塁の案山子です 木村寛伸

標本は羽ばたくかたち秋の天 小西瞬夏

人形の家のしきたり黴の花 小松敦

新涼やするりと通るシャツの袖 宮下由美

思い出も微塵の更地草雲雀 伊東孝浩

反戦の歌とは知らず草の花 大浦ともこ

炎天より戻りこの世の水を飲む 菅原春み

小鳥来る私の鉛筆硬いまま 谷口道子

老いたれど用心棒なり月の道 野口佐稔

頑張らぬ事を頑張る案山子かな 大渕久幸

段ボール朽ちてこほろぎ棲みにけり 小野こうふう

遠ざかる昭和の平和ソーダ水 川畑亜紀

秋掴む富士の高さへ背伸びして 後藤雅文

鈴虫や弄る先に妻おらず 坂内まんさく

縷紅草ちいさい一日でありぬ 平田薫

蟷螂飛んだ歌舞伎役者のやんちゃ 藤川宏樹

サンダルを拇指のはみ出す母似かな 藤田敦子

神風とならずに還る稲の花 柳生正名

補聴器買おう右耳の蝉時雨 石橋いろり

お味噌汁夕餉の雲を温めて 葛城広光

ひとり飯チャットアプリかふ・ふ・ふ 塩野正春

ぶら下がり人生蓑虫よ妻よ 樽谷宗寛

黄蝶あり葉の露啜りて離れざり 小田嶋美和子

草を引く一本一本のいのちかな 小池信平

御遺体は軍事費のせい地虫なく 野口思づゑ

八月尽みな足早に朝の駅 矢野二十四

 最高点句14点「ほしづくよ」、「母の敬語」の解釈が二つに分かれた。大事なことを話す時に敬語になっている状況、認知症ゆえに他人行儀になっている状況、後者で捉える者多し。採らなかった意見としては、親の認知症のテーマには食傷気味、「刺さりけり」の表現が報告的、心に刺さったその心情を別の言葉で、など。「ほしづくよ」のひらがな表記には、幼いころからの母への親しみ、母他界説、など諸々意見が出た。11点「小鳥来て」、現代の戦争が小鳥来るようにさりげなく近寄る空恐ろしさに共感する声、小鳥と戦争を二物衝撃させる不条理性を評価する声、「ある」とか「くる」ではなく「置く」が秀逸との声など。小鳥に旧ツイッターの青い鳥を重ねた者もあり。採らない弁としては、戦争が綺麗すぎる、軽い、もっと重いもの、との意見が多。渡辺白泉や三橋敏雄に触れる意見もあった。7点「キューピーの」、「キューピーの睫毛」への着眼良しとの意見多数。一方で、「疲れ」と言わずに疲れを表現したい、「睫毛の疲れ」に作為感じる、等の意見もあり。6点「死ぬまでの」、死ぬのは患者なのかそれとも主治医の方なのか、との解釈に分かれあるも、大方は患者。死んだらお終いと吹っ切れていて爽やか。医学的な見地で、患者に同情などせず敢えていつも爽やかにしているのだ、との意見も。6点「赤とんぼ」、「交わる」の解釈が分かれた。たくさんの蜻蛉が縦横に交わるように飛んでいる様、「交接飛翔」している様。採らない声としては「どの空も」がわからない。採った者は「愉快」の着地に好感。6点「新しい」、月の出を迎えに行くイメージ、発想が美しい、夜に新しい靴をおろすことから野辺送りをイメージするとの声も。採らない人は「分からない」、ファンタジーを好まない。6点「ごはんまだ」、猛暑の今夏ありふれた光景に共感して採る者も外す者も。「こだまする」と書かれてもこだましているように感じない、との意見も。5点「蚤市に」オーストリアとか外国の蚤市の印象、赤とんぼが時空を越境している、ノスタルジー、「皇子の写真」に平和を感じる、など。採らない人はリアリティを感じなかった様子。5点「炎天の」、炎天・工事の声・ふとく、全てお決まりのありふれた光景で採れない、との声。採った人はこのありきたりに共感。
 どんな俳句を好み、目指すのか、俳句に何を求めるのか、といった根本的なスタンスの違いが明らかになる合評であった。
(記:「海原」小松敦)

アンケート結果:2023年9月「海原オンライン句会」

海原オンライン句会では、参加者の要望をもとにして、随時アンケートを行っています。みんなに聞いてみたいテーマがあれば、どんどんご意見・ご要望をお寄せください。

アンケート:句のテーマや素材は、どのようにして獲得しますか?
〈任意回答・順不同〉

〇季語に限らず気に入った言葉、引っかかった言葉をメモしており、気が向いたときこの言葉を使うぞと、一気呵成に句にします。打率はかなり低いですが、そこは気合で。

〇通い道の観察。仕事上の記憶。便所、風呂場での空想。世の中の出来事。他人の言動。

〇日常の葛藤とか子どもの単純かつ不可思議なこととか、句材といえばそれらをよくみることでしょうか。

〇俳句を考えることから、そして俳句を考えないことから。結局すべてということか。

〇新聞の文化欄(記事、書籍の題名や帯、短歌や詩)、美術館

〇妄想の世界に入り込む。特に小説の主人公の追体験をよくします。

〇閃き

〇子育てで忙しかった頃は、一人になれるお風呂でした。今は…朝のウォーキングですかね。

〇何時もの風景、行動、友達の話など。TVやツイッターもいい番組は参考にします。

〇吟行のような句作のための外出という時間があまりないので、通勤や路上、日常の家事の途中に目に留まった映像を拾うことが多いです。新聞や広告からも、よく言葉を拾ってます。でも、そのまま使うことは稀で、そこで得たテーマをしばらく考えていて、そのあとぼやっとフレーズが浮かんでくることが多いです。だから、いつも「ぼーっと」してま~す!!!

〇散歩や旅行などでの観察、日常生活の中での感想、過去の思い出、ネット記事からランダムに言葉を選びその言葉を入れて作句。

〇日常生活の中で気になったこと、ウェブや新聞・雑誌、小説、映画、写真などに触れて印象的だったものや言葉や想像した光景などをなるべくメモるようにしてます。そうしたメモを眺めて頭に浮かんでくる記憶や連想をまた言葉にメモしなおしたり。金子兜太の造型論を実践したいと日頃から思っていますが難しいです。そもそも、質の良いメモのためには、ものごとにいかに触れ感覚するかが大事だと思い(兜太の言う「純粋衝動」を得たい)、「生きもの感覚(アニミズム)」、「ふたりごころ」などに学んで、身体のコンディションや感覚を整えるように心がけてますが、今のところ思い通りにはいってません。最近「自重ストレッチ」始めました。

〇読んできた本や生活の中からふと言葉がおりてきますが、忘れっぽいのですぐ忘れます。メモを取るようにしています。

〇散歩で観察、家事・土いじりなど

〇涼しい季節はとにかくウロウロ歩いて、そのあとカフェにしけこんでコーヒーを啜りながら整理します。感覚に刺激を受けないと何も浮かびません。だから、暑い季節は、過去の記憶に頼ることが多いです。

〇用事へ向かう途中ほっと一息ついたとき

〇散歩しながら季節を感じて、ベランダや庭で風を感じて

〇テレビの映像、ラジオの言葉。特に自分は音だけ(ラジオ)の方が感覚が鋭くなる気がする

以上

縦深志向 金子兜太

「海原俳句、来たるべきもの」へのヒント

平明で重いものを 金子兜太

現代俳句の本格 金子兜太

土がたわれは 金子兜太

新たな前線をめざして(『海程』126号・127号での座談会)

2023年夏【第5回】兜太通信俳句祭《結果発表》

自由作品18句「カカオの女(祝詞橋)」大西健司

『北國幻燈 Hokkoku Gento』中内亮玄句集

『妖精女王マブの洞窟』マブソン青眼句集

『画家・瑛九の世界』瑛九生誕一〇〇年記念出版〔増補版〕福富健男著

吉澤祥匡・吉澤紀子句集『山影川鰍』〈遠汽笛 森由美子〉

『海原』No.51(2023/9/1発行)アップしました

埼玉県現代俳句大賞:第十九回(茂里 美絵)&第二十回(鳥山 由貴子)

第5回 海原金子兜太賞決定

第5回「海原金子兜太賞」(2023年度)が決定しました

2023年9月2日(土)、第5回「海原金子兜太賞」の選考会が開催され、応募44作品の中から、次のとおり受賞者が決定いたしました。おめでとうございます。

【海原金子兜太賞】
 「渋い柿」 佐々木宏

【海原金子兜太賞 奨励賞(二名)】
 「もずく天ぷら」 河西志帆
 「十指」 小西瞬夏

選考委員:安西 篤/武田伸一/田中亜美/堀之内長一/宮崎斗士/柳生正名/山中葛子
(以上7名 五十音順)

受賞作品と選考過程の詳細は、「海原」2023年11月号に発表予定です。

9月「海原オンライン句会」申込み受付中★欠席投句&選句もOK

9月「海原オンライン句会」のお申込み受付中です。
※8月は休会です

9月申込み:https://forms.gle/xGK7tXHBZpZx2fuA7
※申込み期限は、9/1(金)の24時です。

下記サイトで詳細ご確認の上、よろしければご参加ご検討ください。
詳細:https://kaigen.art/online/
※過去の句会報、7月アンケート結果(選句とは?海原・海程とは?)もアップしています。

【9月スケジュール】
・申込締切:2023年9月1日(金)24時
・投句締切:2023年9月8日(金)24時
・選句締切:2023年9月15日(金)24時
・句  会:2023年9月16日(土)13:00?15:30 (Zoom開室12:45)

★9月も高点句のあと零点句から逆のぼりで「全句」合評の予定です。

なお、「Zoom句会当日は参加できないけど、投句+選句(+事前選評)だけでもよければ参加したい」というご要望がいくつかあり、9月からOKにしますのでどうぞご参加ください。選句結果もお届けします。Zoom句会欠席の方は参加フォームの「海原オンライン句会のやり方などに関するご希望やご意見があれば教えてください。」の欄に、「Zoom句会欠席、投句・選句のみ」とコメントしてお申し込みください。
以上

第5回 海原賞・海原新人賞の決定

句会報:2023年7月「海原オンライン句会」

「海原オンライン句会」7月は15日(土)にZoom句会を実施。
8月は休会。9月申込受付中。https://kaigen.art/online/
今回は、回答任意でアンケートも実施。①あなたにとって選句とは何?②あなたにとって海原・海程らしさとは何? 結果はこちら。よろしければご覧ください。そのうち句会とは別に、皆さんのご関心あるテーマで座談会、ディスカッションなど企画予定。乞うご期待。

句会報:海原オンライン句会:2023年7月15日

【高点句】(五点以上)

水でっぽう人撃つことをためらはず 宮下由美

晩年は忙しいんだアロハシャツ 後藤雅文

「検索」の奥へ隙間へ御器かぶり 石川まゆみ

空蝉を嗅ぐ戦争がかさかさと 小西瞬夏

四畳半一間扇風機が猫背 藤川宏樹

炎昼や情夫のやうに眠りたる 安部拓朗

星涼し恐竜図鑑めくるたび 小西瞬夏

釜蓋朔日かまぶたついたちとふ頬杖にのる重さ 柳生正名

【参加者各一句】(高点句以外)

泰山木の花君の斜面へ逢ひにゆく 石鎚優

万緑の中悪相の鳩がいる 榎本祐子

往復書簡途絶えて久し夏薊 大浦ともこ

刃を引けば切り絵のヒマワリ遠見する 小田嶋美和子

ピッチャーにシュークリームを握らせる 葛城広光

水遊びわざと濡れて泣いたこどもだった 桂凜火

ででむしに親友居るか訊ねけり 上脇すみ子

河童の忌喰わず仕舞いの毒饅頭 木村寛伸

蚯蚓玉出穂の国の潤いじゃ 小池信平

真白な腕青蔦のつかむ空 小松敦

葛桜恋はつるんとしてかなし 田中信克

ごろ寝二足と四本かすか触れあう梅雨晴れ間 谷口道子

さあパリ祭だお菓子の好きな妻よ子よ 樽谷宗寛

私から我が飛び出す噴水や 野口思づゑ

白南風や明日のパンを買いにゆく 藤田敦子

移る日やひまわりの笑顔信じる日 増田暁子

荒梅雨やパチンコ屋の解体音 満葉

枇杷熟るる「今はどなたもゐませんよ」 矢野二十四

枇杷の葉の揺れて小禽とびたてり 吉澤恭香

 二十六名参加。三句出し五句選で合評。八点「水でっぽう」、実は恐ろしい句。国内外の政治情勢も想起させる。八点「晩年は」、アロハシャツの軽やかさに共感多数なるも、この句の眼目は意味内容より「忙しいんだ」の話し言葉口語表現でありそこを掬い取るべきとの意見あり。六点「検索」は、中七が前後に係る構成が巧み。五点「空蝉を」、視覚・嗅覚・聴覚とマルチモダールな身体感覚。「四畳半」は「猫背」のノスタルジー。「炎昼や」の「情夫」には共感・疑問それぞれ。「星涼し」は太古のロマン。「釜蓋朔日」は物象感溢れる季語に中下の身体感覚を衝突させイメージ膨らみ、意見多数大盛況。

 今回も無点句含め全句合評。回答任意でアンケートも実施。①あなたにとって選句とは何?②あなたにとって海原・海程らしさとは何?結果をこちらで掲載しているのでよろしければご覧ください。

(記:「海原」小松敦)

アンケート結果:2023年7月「海原オンライン句会」

海原オンライン句会では、参加者の要望をもとにして、随時アンケートを行っています。みんなに聞いてみたいテーマがあれば、どんどんご意見・ご要望をお寄せください

アンケート① あなたにとって「選句」とは何ですか?〈任意回答・順不同〉

〇新しい何かに出遭えるように だれかの思いを受け止めようとする行為

〇胸に響き、共鳴する句

〇なぞなぞの答え探し

〇心が動いた句を選ぶことです

〇自分に無い、意外性やオリジナリティに触れること

〇他者の作品を鏡として自分の感覚を捉え返すこと

〇新鮮な視点があること、それを探ること

〇好きな句を選ぶのを諦めること

〇選んだ句を通して、今の自分が見えてくる。

〇客観的にみること。

〇選句とは、「好き」を見つけて「矯めつ眇めつ」を楽しむこと。自分では書けないような句は、衝撃により一目惚れ。でも、好きなんだけど一カ所アバタがどうしても気になる、とか、あれこれ眺めまわして。で、結局「好き」が残れば、いただくことになります。

〇今度、考えをまとめて朝日カルチャーのテーマにしようと。

〇自分にはない発想や視角の発見、気づきの機会

〇発見、気づき

〇句の描く風景に共感できる。比喩表現が上手い。

〇真実をつかんでいること、そして、その表現が自分の琴線に触れるかを選句の基準にしている。

〇この句会に参加して初めて選句という作業をし、句を吟味・鑑賞することを経験。大変勉強になります。

〇「選句」には二つの意味があると思います。一つは俳句作品としての評価です。様々な観点から「俳句作品」として評価できるという、読者の「俳句観」に照らした評価です。そしてもう一つは、自分の心との一致です。作者が心の中で視たもの・思ったことと、読者のそれが五七五という短いフレーズの中で、ふっと、ピタリと一致する。皆様、そんな経験があると思います。俳句や文芸としての良さということとは別に、「ああ、この感覚」、「こんな想い出があったよね」、「あなたもそう感じていたんだね」といった、俳句を通じての「作者との対話」があると思います。それが「俳句」独特の貴重な「心のコミュニケーション」の方法だと感じています。それが「特選」という「枠」の存在理由にも、「社会性は態度の問題」と言ったことにも通じてくると思われます。

〇私らしさの創出。「好き」∧「作品の完成度というか詩というか創作物としての感服度」。

〇好きな句を選ぶこと=自分を吟味して他者に曝すこと。そしてその結果を他者と交換・交通することで自分の世界を豊かに拡張すること。普遍的な評価基準など無いが、俳句先生の場合は、先生のポリシーに従って表現の可能性を広げるべく指導的な選び方もあると思う(兜太先生のような)。

〇森の中に入って行くような感覚。

アンケート② あなたにとって「海原」あるいは「海程」らしさ、とは何ですか?「海原」以外の方は印象や想像で結構です。〈任意回答・順不同〉

〇いつも新しい境地を競っている場所

〇自由な発想の句

〇物象の生々しさ、体が反応すること

〇やはり、「俳諧自由」でしょうか?

〇俳諧自由

〇一言で言えば、「人間」や「生きると言うこと」を素直に真摯に、そして執拗に見つめてゆくという態度でしょうか。金子先生のことを想って見ても、海原の方々との触れ合いでもそのことは強く感じます。アンケート①の回答と重なってきますが、「俳句」には、いわゆる「俳句文芸」としての価値の他に、他者への想いの在り方とか、一種の人間存在への哲学とか、社会の中でのコミュニケーションの在り方とか、様々な課題を包摂する機能と力があると思っています。多くの俳句結社や同人誌では、当たり前のことですが、彼らなりの「俳句の文芸性」の価値追究や共有感覚が重要視されます。「海原」でも勿論、そのことは常に論議されていると思いますが、それを越えて人生や社会、環境といったものを「俳句を通じて」考えてゆく、その自由さと力とが「海原」にはあると思っています。

〇金子兜太先生が極めようとした俳句の世界を探求している同人・会友に触れ合える場に所属して俳句づくりをし、自らの作句力を高める。

〇「むちゃぶり」「ぶっちゃけトーク」など俗語的な表現が普通に使われていることに驚きました

〇兜太先生の精神。

〇緩急、硬柔、併せ持つ

〇ぶっ飛んでいるほどの自由さ。敷居の高さを感じています。

〇「創る」に相応しい句に出会える

〇幅ひろい句を受け入れる包容力のある句会と思っている。したがって「らしさ」を特定できない。

〇金子兜太師の生きざまにひかれ「海程」・「海原」を知り、その流れが脈々と繋がれているものと参加しています。

〇「海原」と対照的な広島圏の「夕凪」という結社にもご縁がありますが、何が対照的かといえば、「夕凪」は徹底的に五七五を守り、先生の教えを受け入れる点が態度としては全く異なると思われます。しかし、何気ない言葉の中にしみじみとした深さを感じる句も多いです。「海原」は、上記例示のとおり、縛りがなく自由だと思いますが、自由だということに縛られてはいないか、自由げにしなきゃいけないと思ってはいないか、自分自身の創作への態度や責任を考えさせられます。「らしさ」には流されるなと思う昨今です。もがいているわけです、いま。

〇俳諧自由。金子兜太「海程」の理念を引き継ぐ「海原」は多様性をはぐくむ海。いろんな生きものが共存するエコシステム(生態系)。

〇自分なりの表現方法を探して行けるところ

〇詩性

〇今、俳句に何が求められているかに常に敏感であること。只今の海原がそうであるのかは?

以上

『海原』No.50(2023/7/1発行)アップしました

「海原オンライン句会」9月・10月開催スケジュール

「海原オンライン句会」8月は休会です。
9月・10月の開催スケジュールを公開していますのでご予定ください。
詳細はこちら→ https://kaigen.art/online/
海原以外の方のご参加も大歓迎です。どうぞお誘いあわせの上、お気軽にお申し込みください。

第2回「海原」全国大会 in 秩父《創刊5周年記念》

締切迫る!第5回「海原金子兜太賞」募集

締切迫る!第5回「海原金子兜太賞」募集
―新作30句、募集締切は2023年7月20日―

●過去の受賞作品
第1回(2019年)
 本賞:すずき穂波「藁塚」
 奨励賞:望月士郎「むかししかし」
 特別賞:植田郁一「褌」

第2回(2020年)
 本賞:三枝みずほ「あかるい雨」
 奨励賞:小西瞬夏「ことばのをはり」
 奨励賞:森由美子「万愚節」

第3回(2021年)
 本賞:大沢輝一「寒落暉」
 奨励賞:河田清峰「笈日記」
 奨励賞:三好つや子「力水」

第4回(2022年)
 本賞:望月士郎「ポスト・ヒロシマ」
 奨励賞:ナカムラ薫「砂の星」
 奨励賞:三浦静佳「鄙の鼓動」

句会報:2023年6月「海原オンライン句会」

 「海原オンライン句会」6月は17日(土)にZoom句会を実施。二十六名参加。前回と何人か入れ替わり、海原以外の方やお誘いあわせのご見学のみの方もいたりして、今回も盛り上がりました。三句出し五句選で合評。
 今回は高点句合評の後、零点句から逆のぼりで、点数の低い句を重点的に全句合評を行いました。勉強になった!と好評でしたので、次回以降もこのやり方を予定。
 7月分、申込受付中です(申込期限6/30迄):https://kaigen.art/online/

句会報:海原オンライン句会:2023年6月17日

【高点句】(五点以上)
俳句部員募集プールの底の青 小西瞬夏
拗(こじ)らせてはしびろこうでゐる薄暑 柳生正名
「夏帽子あります」ウインドウに空 宮下由美
西口を出るどこかに虹は出てないか 矢野二十四
生き延びた匂いだ潮干狩の昼だ 安部拓朗
青葉闇くぐればどこか違う空 川嶋安起夫

【参加者各一句】(高点句以外)
逃がそうとティッシュにつまむ蜘蛛に胴 石川まゆみ
帰りゃんせ未生の海へ青すすき 石鎚優
眉濃ゆく描いて黒南風連れてきた 榎本祐子
縫ひつける母の名やさし半夏雨 大浦ともこ
チャーミングに老ひたきものよアカショウビン 小田嶋美和子
司馬遷がシャレコウベを並べたり 葛城広光
ハミングをかき混ぜ風のレモネード 桂凜火
ありていに言えば六十路は走り梅雨 木村寛伸
鍬を据へ土の汗する夕涼み 小池信平
ねじ花のネジで締めたい君の顎 後藤雅文
暗黙に突き出されたる心太 小松敦
嘘つきの口に茗荷の子がしゃきしゃき 田中信克
深山の風わが手包めり御手洗川 谷口道子
犀の背に群がる小鳥雨期近し 樽谷宗寛
ひとつ覚えの葭切のようミサイル報道 中村晋
叔父が逝く今年初めて蚊をつぶす 坂内まんさく
指の腹に黒胡麻卯の花腐しかな 藤川宏樹
母はまた蛍袋へ入り込む 増田暁子
薔薇浮かぶタイムリープのバスタイム 満葉
直葬といふ儀式あり春朧 吉澤恭香

 二十六名参加。三句出し五句選で合評。七点「俳句部員」、映像鮮やか、物語を喚起する、プールの水に心情の揺らぎを感じる。夏だけでなく年中募集中だろうとも。七点「拗らせて」、「はしびろこう」の斡旋が見事。「ゐ」の文字にはしびろこうの「眼玉」が見える、「薄暑」の疑義に対し「冷や汗」感あり良しとの意見。「拗らせて」まで書かない方が想像が膨らむ、とも。六点「夏帽子」、昭和レトロな街角に共感多し。何屋かわかりずらい、景が不自然との声もあり。五点「西口を」、西口の錆びれ感、虹は出てないことを承知で呟く心理に共感多し。「西口や」ではなく「西口を出る」がよい。五点「生き延びた」、むせ返るような磯の匂いの生々しさ。五点「青葉闇」、神隠し的異次元空間をシンプルに現出、「くぐれば」より「くぐりて」がベターとの意見。

(記:「海原」小松敦)

第1回兜太祭 レポート

『海原』No.49(2023/6/1発行)アップしました

山中葛子句集『愛惜』〈「その世」の華やぎを詠む 柳生正名〉

山中葛子句集『愛惜』〈一句鑑賞・桂凛火・高木一惠〉

マブソン青眼『遥かなるマルキーズ諸島』〈アニミズム的「魂」の世界観 石川青狼〉

追悼 伊藤雅彦遺句抄

哀悼 中村ヨシオ 植田郁一

シリーズ・海程の作家たち《最終回》八木三日女―『紅茸』から『私語』へ(下)~谷佳紀の個人俳句誌「しろ」より

シリーズ・海程の作家たち《第五回》八木三日女―『紅茸』から『私語』へ(上)~谷佳紀の個人俳句誌「しろ」より

抄出:2023年5月「海原オンライン句会」(五十音順)

5月は5/20(土)Zoom句会実施。二十七名参加。三句出し五句選で合評。海原の枠を超えてディスカッション盛んでした。
句会の中で話題になったテーマなどに基づき別途勉強会なども企画したいと思います。漢語と和語の斡旋効果、作句論と受容理論、一からの造型俳句論、海程調?海原調?、などなど兜太研究に限らずに。

6月申込開始しました:https://kaigen.art/online/

抄出:2023年5月「海原オンライン句会」

【高点句】(五点以上)
胎動の鎮もりて聴く緑雨かな 大浦ともこ
母預け終え草餅に微熱あり 安部拓朗
冷やし酒猫を師とする禅問答 木村寛伸
青胡桃少女の探す自由席 増田暁子
夏の子の口笛ひゆうと薄荷色 大浦ともこ
青葉風髪切るようにマスクとる 川嶋安起夫
青葉より君らの声の乱反射 矢野二十四

マイナカード春眠破る徴兵 石川まゆみ
初恋のやうに春菊間引きをり 石鎚優
私のアンドロイド青野を二人 石橋いろり
蜥蜴走るぐらり世界が反転す 榎本祐子
殷殷たる師の声のする夏の空 小田嶋美和子
麦を刈るたっぷりの愛終わる頃 桂凜火
野(や)に育ち背筋きりりと夏蓬 小池信平
植田には見上げる富士と覗く富士 後藤雅文
亀鳴くやからだの中にある隙間 小西瞬夏
歯ブラシの開いた毛先夏めけり 小松敦
腕が出て駐車券とる青葉若葉 菅原春み
夏の恋ふとなで肩の猫がいて 田中信克
高速バス停重き扉の若葉風 谷口道子
鳥帰る監視カメラに影残し 樽谷宗寛
椅子ふたつのけ思い切り窓若葉 野口思づゑ
薔薇愛でるために使わぬ指のあり 福岡日向子
ハンカチに包む分けきれぬ愛は 藤田敦子
蟻塚へ熱湯注ぐ吾も女王 満葉
二の腕のまだ日に慣れず薄暑かな 宮下由美
九九知らぬ新二年生ぐいぐい来る 柳生正名
柿若葉ひかりと影がくすくすと わだようこ

 最高点は十点「胎動の」。母の身体の外と内の自然が通じ合っている、生きもの感覚。一方で、「胎動」という漢語の利用、「静」ではなく「鎮」、「聞」ではなく「聴」に作為を感じる、鎮まると逆に心配、などの意見もあり。七点句「母預け終え」は、介護俳句にやや食傷気味との声あるも「草餅に微熱」の心理に共感多し。「草餅に微熱」を感じる余裕はないとの声も。六点句「冷やし酒」、「南泉斬猫」が背景にあるのなら「冷やし酒」はいかがなものか→「南泉斬猫」に関係なく作った句。六点句「青胡桃」、少女、探す、自由、と盛り過ぎではないかの意見に対し、自由席と「席」にしたのがよい(物象感、リアリティ)。ほか、五点句「青葉より」で使われている「乱反射」という漢語に触れて、漢語と和語の斡旋に関するディスカッションに繋がり盛り上がる。今後、句会で話題になったテーマを深耕するような勉強会も企画してみたい。
(記:「海原」小松敦)

シリーズ・海程の作家たち《第四回》「命」―北原志満子の俳句~谷佳紀の個人俳句誌「しろ」より

「海原オンライン句会」6月開催スケジュール

海原以外の方のご参加も大歓迎です。どうぞお誘いあわせの上、お気軽に
お申し込みください。 https://kaigen.art/online/

二つのベクトル―垂直方向と水平方向―藤野武◆第4回海原賞・海原新人賞受賞作家の俳句を読む

路地灯り 大西健司

俳人金子はるを訪ねて(下)―秩父山峡に生きる兜太の母―石橋いろり

『海原』No.48(2023/5/1発行)アップしました

シリーズ・海程の作家たち《第三回》堀葦男と前衛俳句および言葉と季語~谷佳紀の個人俳句誌「しろ」より

シリーズ・海程の作家たち《第二回》気合い―阿部完市の俳句~谷佳紀の個人俳句誌「しろ」より

「海原オンライン句会」はじめます

シリーズ・海程の作家たち《第一回》巡礼・林田紀音夫~ 谷佳紀の個人俳句誌「しろ」より

シリーズ・海程の作家たち~ 谷佳紀の個人俳句誌「しろ」より

 2018年12月に急逝した谷佳紀氏が2004年から2013年にかけて発行した個人俳句誌「しろ」では、自身の俳句だけではなく、多くの優れた俳句作家論を執筆していました。『海原』では2019年、谷氏追悼として「しろ」での作家論を抜粋して誌面に連載しましたが、本ウェブサイトには未掲載でした。
 今般、「海原」以外の方々にも読んでいただきたいとの思いから、順次6回にわたって「海原テラス」のコーナーに掲載いたします。

シリーズ・海程の作家たち~ 谷佳紀の個人俳句誌「しろ」より

《第一回》巡礼・林田紀音夫(『海原』No.6 2019/3/1発行)
《第二回》気合い―阿部完市の俳句(『海原』No.7 2019/4/1発行)
《第三回》堀葦男と前衛俳句および言葉と季語(『海原』No.8 2019/5/1発行)
《第四回》「命」―北原志満子の俳句(『海原』No.9 2019/6/1発行)
《第五回》八木三日女―『紅茸』から『私語』へ(上)(『海原』No.10 2019/7/1発行)
《最終回》八木三日女―『紅茸』から『私語』へ(下)(『海原』No.11 2019/9/1発行)

春の色 望月士郎

俳人金子はるを訪ねて(上)―秩父山峡に生きる兜太の母―  石橋いろり

句集と小説『遥かなるマルキーズ諸島』マブソン青眼

『兜太を語る―海程15人と共に』『語りたい兜太伝えたい兜太―13人の証言』の編集に当たって 董振華

『愛惜』山中葛子句集

締切5月末:2023年夏「兜太通信俳句祭」開催のご案内

『海原』No.47(2023/4/1発行)アップしました

ヨロコブコロヨ 望月士郎

野の指とまれ 川田由美子

ウルトラマン商店街 大池桜子

露人ワシコフ叫びて石榴打ち落す〜神戸とロシアを結ぶ点と線〜齊藤しじみ

追悼 宇田蓋男遺句抄

第5回「海原金子兜太賞」の募集案内

『海原』No.46(2023/3/1発行)アップしました

第32回 ヒロシマ平和祈念俳句大会のご案内

第32回 ヒロシマ平和祈念俳句大会のご案内

本年も平和を祈念する作品を広く募集いたします。投句者全員による互選および特別選者による特選の発表のほか、出席者による当日俳句会もあります。多数の応募と大会への出席をお待ちしております。

とき:2023年7月15日(土) 午前10時~
ところ:広島市中区民文化センター
(広島市中区加古町4―17 ☎082―244―8000)
作品募集:未発表作品2句1組1,000円(何組でも可)
投句締切:5月9日(火)
投句先:〒730―0002 広島市中区白島中町12―15
 川崎千鶴子あて(☎082―222―1323)
特別選者:中村和弘・宮坂静生・宇多喜代子・安西篤・池田澄子・寺井谷子・夏井いつき ほか、多数を予定
顕彰:大会賞(現代俳句協会長賞)・広島県知事賞ほか
主催:広島県現代俳句協会
後援:現代俳句協会・広島県・広島市・中国新聞社など

モナリザの姉 望月士郎

追悼 松林尚志〈「金子兜太の俳句―鑑賞と批評」松林尚志著『現代秀句昭和二十年代以降の精鋭たち』より〉

佐孝石画句集『青草SEISOU』〈圧倒する青春性 安西篤〉

〈再掲〉2023年第1回「兜太祭」のご案内

『海原』No.45(2023/1/1発行)アップしました

2023年1月・2月「海原」東京例会

2023年1月・2月「海原」東京例会

日時:2023年1月14日(土)午後1時~
        2月12日午後1時~
   ※2月は日曜日ですのでご注意ください。

会場:家庭クラブ会館2階ホール
https://kateiclub.com/index.html

出句:2句
   ご出句は当日ご出席の方のみとさせていただきます。
   欠席出句はご遠慮ください。

出句受付:宮崎斗士
 メール tosmiya★d1.dion.ne.jp(★→@、「d1」の「1」は数字の1です)
 FAX 042-486-1938
 郵便 〒182-0036 調布市飛田給2-29-1-401
ご出句の原稿には「1月(2月)東京例会出句/お名前」とご明記お願いいたします。

出句締め切り:1月11日(水)、2月8日(水)必着

参加費:1000円
参加費は当日支払いでお願いいたします。

確認事項、お問い合わせは宮崎斗士までお気軽にどうぞ。
電話 070-5555-1523

2023年第1回「兜太祭」のご案内(日程の訂正あり)

松本孜句集『丹波篠山黒大豆』〈丹波春秋 榎本祐子〉

2022年秋【第4回】兜太通信俳句祭《結果発表》

『海原』No.44(2022/12/1発行)アップしました

第4回 海原金子兜太賞

『青草 SEISOU』佐孝石画句集

『海原』No.43(2022/11/1発行)アップしました

2022年12月「海原」東京例会

2022年12月「海原」東京例会

日時:12月10日(土)午後1時~ 

会場:家庭クラブ会館2階ホール
https://kateiclub.com/index.html

出句:2句
   ご出句は当日ご出席の方のみとさせていただきます。
   欠席出句はご遠慮ください。

出句受付:宮崎斗士
 メール tosmiya★d1.dion.ne.jp(★→@、「d1」の「1」は数字の1です)
 FAX 042-486-1938
 郵便 〒182-0036 調布市飛田給2-29-1-401
ご出句の原稿には「12月東京例会出句/お名前」とご明記お願いいたします。

出句締め切り:12月7日(水)必着

参加費:1000円
参加費は当日支払いでお願いいたします。

確認事項、お問い合わせは宮崎斗士までお気軽にどうぞ。
電話 070-5555-1523

※1月・2月の開催日は、1月14日(土)、2月12日()です。

第4回海原新人賞

第4回海原賞

前川弘明句集『蜂の歌』〈芳潤な羽音 茂里美絵〉

前川弘明句集『蜂の歌』〈一句鑑賞 鳥山由貴子・松本勇二〉

『海原』No.42(2022/10/1発行)アップしました

『丹波篠山黒大豆』松本孜句集

2022年11月「海原」東京例会

2022年11月「海原」東京例会

日時:11月6日(日)午後1時~ 

※次回11月は日曜日ですのでお間違いなきよう。

会場:家庭クラブ会館2階ホール
https://kateiclub.com/index.html

出句:2句
   ご出句は当日ご出席の方のみとさせていただきます。
   欠席出句はご遠慮ください。

出句受付:宮崎斗士
 メール tosmiya★d1.dion.ne.jp(★→@、「d1」の「1」は数字の1です)
 FAX 042-486-1938
 郵便 〒182-0036 調布市飛田給2-29-1-401
ご出句の原稿には「11月東京例会出句/お名前」とご明記お願いいたします。

出句締め切り:11月2日(水)必着

参加費:1000円
参加費は当日支払いでお願いいたします。

確認事項、お問い合わせは宮崎斗士までお気軽にどうぞ。
電話 070-5555-1523

『海原』No.41(2022/9/1発行)アップしました

詩人・ラヴロック博士 小松敦

『蜂の歌』前川弘明句集

2022年10月「海原」東京例会

2022年10月「海原」東京例会

日時:10月8日(土)午後1時~

会場:家庭クラブ会館2階ホール
https://kateiclub.com/index.html

出句:2句
   ご出句は当日ご出席の方のみとさせていただきます。
   欠席出句はご遠慮ください。

出句受付:宮崎斗士
 メール tosmiya★d1.dion.ne.jp(★→@、「d1」の「1」は数字の1です)
 FAX 042-486-1938
 郵便 〒182-0036 調布市飛田給2-29-1-401
ご出句の原稿には「10月東京例会出句/お名前」とご明記お願いいたします。

出句締め切り:10月5日(水)必着

参加費:1000円
参加費は当日支払いでお願いいたします。

確認事項、お問い合わせは宮崎斗士までお気軽にどうぞ。
電話 070-5555-1523

第4回 海原金子兜太賞決定

8月6日(土)「海原」東京例会中止のお知らせ

8月6日(土)「海原」東京例会中止のお知らせ

新型コロナウイルスの感染拡大に鑑みまして、

8月6日(土)の「海原」東京例会は中止ということになりました。

ご理解ご了承のほど、よろしくお願い申し上げます。

「海原」東京例会幹事 宮崎斗士

2022年秋「兜太通信俳句祭」開催のご案内

『海原』No.40(2022/7/1発行)アップしました

柳生正名著『兜太再見』書評◆「再見」と「再生」 小松敦

2022年8月は中止・9月「海原」東京例会

日時:8月中止、9月10日(土)午後1時~

会場:家庭クラブ会館2階ホール
https://kateiclub.com/index.html

出句:2句
   ご出句は当日ご出席の方のみとさせていただきます。
   欠席出句はご遠慮ください。

出句受付:宮崎斗士
 メール tosmiya★d1.dion.ne.jp(★→@、「d1」の「1」は数字の1です)
 FAX 042-486-1938
 郵便 〒182-0036 調布市飛田給2-29-1-401
ご出句の原稿には「9月東京例会出句/お名前」とご明記お願いいたします。

出句締め切り:8月中止、9月7日(水)必着

参加費:1000円
参加費は当日支払いでお願いいたします。

確認事項、お問い合わせは宮崎斗士までお気軽にどうぞ。
電話 070-5555-1523

第4回 海原賞・海原新人賞の決定

水野真由美句集『草の罠』〈草の罠にごろんと寝転ぶ 石川青狼〉

2022年春【第3回】兜太通信俳句祭 《結果発表》

WEP 俳句通信127号:特集 柳生正名『兜太再見』を読む

『海原』No.39(2022/6/1発行)アップしました

2022年7月「海原」東京例会

2022年7月「海原」東京例会

日時:7月2日(土)午後1時~

会場:家庭クラブ会館2階ホール
https://kateiclub.com/index.html

出句:2句
   ご出句は当日ご出席の方のみとさせていただきます。
   欠席出句はご遠慮ください。

出句受付:宮崎斗士
 メール tosmiya★d1.dion.ne.jp(★→@、「d1」の「1」は数字の1です)
 FAX 042-486-1938
 郵便 〒182-0036 調布市飛田給2-29-1-401
ご出句の原稿には「7月東京例会出句/お名前」とご明記お願いいたします。

出句締め切り:6月29日(水)必着

参加費:1000円
参加費は当日支払いでお願いいたします。

確認事項、お問い合わせは宮崎斗士までお気軽にどうぞ。
電話 070-5555-1523

2022年5月・6月の「海原」東京例会は「リアル句会」

2022年5月・6月の「海原」東京例会は「リアル句会」です。

日時:5月14日(日)午後1時~
   6月5日(日)午後1時~

会場:家庭クラブ会館2階ホール
https://kateiclub.com/index.html

出句:2句
   ご出句は当日ご出席の方のみとさせていただきます。
   欠席出句はご遠慮ください。

出句受付:宮崎斗士
 メール tosmiya★d1.dion.ne.jp(★→@、「d1」の「1」は数字の1です)
 FAX 042-486-1938
 郵便 〒182-0036 調布市飛田給2-29-1-401
ご出句の原稿には「5月(6月)東京例会出句/お名前」とご明記お願いいたします。

出句締め切り:5月11日(水)必着
       6月1日(水)必着

参加費:1000円
参加費は当日支払いでお願いいたします。

確認事項、お問い合わせは宮崎斗士までお気軽にどうぞ。
電話 070-5555-1523

「見る」人と「聴く」人 佐孝石画◆第3回海原賞・海原新人賞受賞作家の俳句を読む

『海原』No.38(2022/5/1発行)アップしました

『春は曙』寺町志津子句集〈知の明るさ 日高玲〉

『羽後北上』武藤鉦二句集〈羽後の動悸̶̶鉦二先生を悼んで 三浦静佳〉

追悼 丹羽美智子遺句抄

★募集中★海原同人こしのゆみこさんの俳句教室♥現代俳句協会

シン・兜太晩年(下) 宮崎斗士

『兜太再見』柳生正名著

『海原』No.37(2022/4/1発行)アップしました

雪 大沢輝一

追悼 小宮豊和 遺句抄

俳誌「合歓」の終刊と手代木啞々子 植田郁一

第53回原爆忌東京俳句大会のご案内

第53回原爆忌東京俳句大会のご案内

「核兵器禁止条約」の発効後一年余り。核大国は包囲されながらも破棄しようとしません。戦争被爆国日本を一日も早く批准国にするためにも、反核平和の心を俳句に結晶させようではありませんか。今回もご応募と大会へのご出席を熱望します。

とき:2022年8月20日(土) 午後1時開会(参加費1,000円)
ところ:北とぴあ(15階ペガサスホール)
(東京都北区王子1―11―1 ☎03―5390―1100)
内容:
◇記念講演:宮坂静生さん(俳人)「私の原爆雑感」
◇大会作品顕彰(東京都知事賞ほか)
◇当日句会
 作品募集 未発表作品2句1組 1,000円(何組でも可)
 投句締切6月10日(金)
 投句先〒114―0023 東京都北区滝野川3―48―1―603
 石川貞夫あて(☎・FAX 03―3916―5919)
 応募料の納入:定額小為替、または現金にて
主催:第53回原爆忌東京俳句大会実行委員会

第31回ヒロシマ平和祈念俳句大会のご案内

第31回ヒロシマ平和祈念俳句大会のご案内

本年も平和を祈念する作品を広く募集いたします。投句者全員による互選および特別選者による特選の発表のほか、出席者による当日俳句会もあります。多数の応募と大会への出席をお待ちしております。

とき:2022年7月16日(土) 午前10時~
ところ:広島市中区民文化センター
(広島市中区加古町4―17 ☎082―244―8000)
作品募集:未発表作品2句1組1,000円(何組でも可)
投句締切:5月9日(月)
投句先:〒730―0002 広島市中区白島中町12―15
川崎千鶴子あて(☎082―222―1323)
特別選者:中村和弘・宮坂静生・宇多喜代子・安西篤・池田澄子・寺井谷子・夏井いつきほか、多数を予定
顕彰:大会賞(現代俳句協会長賞)・広島県知事賞ほか
主催:広島県現代俳句協会
後援:現代俳句協会・広島県・広島市・中国新聞社など

シン・兜太晩年(上) 宮崎斗士

震災に関わる俳句を高校生とともに作ることで抵抗する 中村 晋

ピロピロ笛 鳥山由貴子

沸騰 大沢輝一

『海原』No.36(2022/3/1発行)アップしました。

第4回「海原金子兜太賞」の募集案内

後藤雅文句集『傾山』〈故郷と新たなる地と 山本まさゆき〉

『春は曙』寺町志津子句集

追悼 中山蒼楓 遺句抄

「海原」東京例会3月も通信句会

2022年3月の「海原」東京例会も通信句会です。以下の要項をご参照の上、ご参加ください。「海原」の会員・非会員問わずどなたでも参加歓迎。

出句:2句

出句受付:宮崎斗士
 メール tosmiya★d1.dion.ne.jp(★→@、「d1」の「1」は数字の1です)
 FAX 042-486-1938
 郵便 〒182-0036 調布市飛田給2-29-1-401
 ご出句の原稿には「3月東京例会出句/お名前」とご明記お願いいたします。

※メールにてご出句の場合は、必ず受け取り確認の返信をいたしますので、ご確認よろしくお願いいたします。もし返信が届かなかった場合はその旨宮崎斗士までご一報ください。

出句締め切り:3月10日(木)23時必着

参加費:1000円
参加費は定額小為替にて宮崎斗士までお送りください。

確認事項、お問い合わせは宮崎斗士までお気軽にどうぞ。
電話 070-5555-1523

通信句会に変更・2月「海原」東京例会

首都圏のコロナ禍拡大の現状に鑑みて検討いたしました結果、来月2月の「海原」東京例会は当初の予定を変更、通信句会ということになりました。以下の要項をご参照の上、奮ってのご出句お待ちしております。

出句:2句

出句受付:宮崎斗士
 メール tosmiya★d1.dion.ne.jp(★→@、「d1」の「1」は数字の1です)
 FAX 042-486-1938
 郵便 〒182-0036 調布市飛田給2-29-1-401
 ご出句の原稿には「2月東京例会出句/お名前」とご明記お願いいたします。

※メールにてご出句の場合は、必ず受け取り確認の返信をいたしますので、ご確認よろしくお願いいたします。もし返信が届かなかった場合はその旨宮崎斗士までご一報ください。

出句締め切り:2月10日(木)23時必着

参加費:1000円
参加費は定額小為替にて宮崎斗士までお送りください。

確認事項、お問い合わせは宮崎斗士までお気軽にどうぞ。
電話 070-5555-1523

にこっと秋 大沢輝一

2022年春「兜太通信俳句祭」

『海原』No.35(2022/1/1発行)アップしました。

『海原』No.34(2021/12/1発行)アップしました。

蛾のまなこ赤光なれば海を戀う~金子兜太と海軍短期現役士官~齊藤しじみ

2021年秋 兜太通信俳句祭《結果発表》

『詩歌往還 遠ざかる戦後』松林尚志著

山田哲夫句集『茲今帖』〈風土・海への親しみ 横地かをる〉

鵜飼惠子句集『花蜜柑』〈日常への真撃な眼 山田哲夫〉

『花蜜柑』鵜飼惠子句集

『傾山』後藤雅文句集

追悼 木村リュウジ遺句抄

追悼 豊山くに遺句抄

追悼 竹内義聿遺句抄

追悼 武藤鉦二遺句抄

2022年1月、2月の「海原」東京例会は「リアル句会」

2022年1月、2月の「海原」東京例会は「リアル句会」です。

日時:1月9日(日)午後1時~
   2月13日(日)午後1時~

会場:家庭クラブ会館2階ホール
https://kateiclub.com/index.html

出句:2句
   ご出句は当日ご出席の方のみとさせていただきます。
   欠席出句はご遠慮ください。

出句受付:宮崎斗士
 メール tosmiya★d1.dion.ne.jp(★→@、「d1」の「1」は数字の1です)
 FAX 042-486-1938
 郵便 〒182-0036 調布市飛田給2-29-1-401
ご出句の原稿には「1月(2月)東京例会出句/お名前」とご明記お願いいたします。

出句締め切り:1月5日(水)必着
       2月9日(水)必着

参加費:1000円
参加費は当日支払いでお願いいたします。

確認事項、お問い合わせは宮崎斗士までお気軽にどうぞ。
電話 070-5555-1523

第3回 海原金子兜太賞

髙野公一著『芭蕉の天地「おくのほそ道」のその奥』書評◆覚醒の喜び 小松敦

『海原』No.33(2021/11/1発行)アップしました

11月、12月の「海原」東京例会は「リアル句会」

11月、12月の「海原」東京例会は「リアル句会」です。

日時:11月13日(土)午後1時~
   12月11日(土)午後1時~

会場:家庭クラブ会館2階ホール
https://kateiclub.com/index.html

出句:2句
   ご出句は当日ご出席の方のみとさせていただきます。
   欠席出句はご遠慮ください。

出句受付:宮崎斗士
 メール tosmiya★d1.dion.ne.jp(★→@、「d1」の「1」は数字の1です)
 FAX 042-486-1938
 郵便 〒182-0036 調布市飛田給2-29-1-401
ご出句の原稿には「11月(12月)東京例会出句/お名前」とご明記お願いいたします。

出句締め切り:11月10日(水)必着
       12月 8日(水)必着

参加費:1000円
参加費は当日支払いでお願いいたします。

確認事項、お問い合わせは宮崎斗士までお気軽にどうぞ。
電話 070-5555-1523

第3回 海原賞

第3回 海原新人賞