2026年2月は2/21(土)にZoom句会を実施。
今回も回答任意でアンケートを実施。
Q:兜太先生に、今改めて聞いてみたいことや伝えたいこと/2月20日は金子兜太の忌日
結果はこちら
句会報:2026年2月「海原オンライン句会」
【高点句】(5点以上)
かといつて不幸ではなし春愁 原洋一
みかん箱いっぱいの本春隣 小松敦
紅梅や筆に委ねて咲く自由 貞行
春寒の小さな鍵の硬さかな 野村正孝
青年と歩けば梅の白さかな 平田薫
海といふ巨大なヌ―ド冬入日 石鎚優
大根煮るひと日のこごり透きとおる 花舎薫
何もかもただ聞き入れて梅ふふむ 小松敦
矢印の通りに進み受験生 信子
長電話ときどき餅を反しをり 矢野二十四
【参加者各一句】(高点句以外)
絡み枝空を縫い上げ冬木立 あかり
ひたひたと記憶の糖度梅開く 桂凜火
地下鉄の刹那春光浴びにけり 川崎拓音
初雪を乗せておかずが隣から 後藤雅文
クラリネットきみの音色で卒業す 夏谷胡桃
とっときの野火そそのかしオーディション 有馬育代
うぐいす餅おしりに人の指のあと 石川まゆみ
こんにゃくの裏も表も北開く 大渕久幸
春の雪降ると土中の骨のひらく 男波弘志
口許に縫はれし風の冴え返る 木村寛伸
全身を再起動して年迎ふ 塩野正春
掌に独楽引き戻し回すなり 大文字良
熱燗や手酌の父の猪口の欠け 長谷歌子
凍空や閂の錆廃教会 野口思づゑ
欠点はうまみのひとつ海鼠かむ 坂内まんさく
今朝もまた部活代わりの雪掻きよ 満葉
雪原の先幻視だとしても緑 井上べん
しゃぼん玉それぞれにある個性かな 坂川花蓮
春の寝言はラ行変格活用にて 田中信克
もう少し生きねばならぬ大雪崩 野口佐稔
喧嘩した日の夕暮れはみかんかな 遙海季夏
美しき確信犯や竜の玉 姫
ポインセチア朱褪せるまま飾る卓 青山雀
名をもたぬもののたてがみ 白亜の泉 宇井十間
「さむいね」とあなたと使う私のマフラー うほのすけ
貝殻の奥に隠した春の夢 川嶋安起夫
指折りつ心と遊ぶ雪見酒 樹下修司
Wi‐Fiの途切るる一間嫁が君 源汰
大玻璃を突き抜く冬日美術館 樽谷宗寛
下萌の陣地広ごる平等院 さかいまゆみ
◇
今回は初参加1名を含む39名。うち21名は海原以外からの参加。老若男女、初心者からベテランまで賑やか。最高点は9点句「かといつて」、「春愁」の曖昧模糊とした表現に共感が集まった。企みが見える、との意見もあった。8点「みかん箱」、転居の時季、引越後間もなくの一間を想像した人多数。どこか幸せが詰まっているという感じ、質素な生活、ノスタルジー、別に珍しくない等々読者それぞれの「みかん箱」があった。同「紅梅や」、水墨画で「紅梅」をぽんぽんと思いつくままに描いていくのびやかさ。逆に「自由」と言われてしまうと不自由、白梅でも木蓮でもなんでもよくなってしまうとの声も。6点「春寒の」、そもそも「鍵」は「小さ」くて「硬」いものだが、大景から小景へのクローズアップ、「硬さ」への着地が効いて「春寒」の心理が滲み出る。一方で、連なる言葉の同質感を嫌う声もあった。同「青年と」、少年ではなく「青年」がいい。「梅の白さ」な心持ち。分かり過ぎるという声もあったが、「青年」も春もこれからだ。5点「海といふ」、海の捉え方が独特。ゆるやかにうねる海原が柔らかな夕陽に染まる。同「大根煮る」、丁寧な暮らしぶりに、感情のわだかまりが消えていく。何だか色々うまくいきそうな予感。同「何もかも」、擬人化として読む人と、梅の蕾そのものの感覚として読む人がいて面白い。同「矢印の」、「受験生」の緊張感や初心な感じが素直に分かる。同「長電話」、景がよく浮かぶ。「餅を反しを」る人に「余裕」を感じる。あるいは「ときどき餅を反」すような会話をしているのかもしれない。
今月の「金子兜太・語録」は、初出『俳句』1970年8月号の「土がたわれは」です。
「海原」ホームページ「海原テラス」コーナーの
「土がたわれは」をご覧ください。 (記:「海原」小松敦)


