春愁ふふっと 桂凜火

『海原』No.27(2021/4/1発行)誌面より

◆自由作品20句

春愁ふふっと 桂凜火

気仙沼牡蠣語を話す牡蠣漁師
孕鹿暮れる東国うす青し
たましいの在りどころ探す鹿の舌
なすび蒔く土を優しく膨らます
輪郭なき春 靴紐堅結び
逸れてゆく日常生活水草生う
マスク越し小さく唄う隅田川
ハリネズミ抱く東京の春の闇
深海のいのち犇めく春の真夜
聞きたいことたくさんあります萱鼠
はにかみ顔喜劇役者の逝く朧
トルソーめく君と直立す花月夜
継ぎはぎの春愁ふふっと河馬のキス
みだれ髪雄ライオンのあたたかし
麝香猫の糞から旨きカフェ春愁
君は陽炎生みたての卵を洗う
切りぎしやゲルニカの木に若葉風
人相の悪い毛虫に会ってしまう
青葉風逆さまのシャツ泳ぎだす
赤い砂の惑星に棲む蜥蜴の名

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です