ピロピロ笛 鳥山由貴子

『海原』No.36(2022/3/1発行)誌面より

第3回海原賞受賞 特別作品20句

ピロピロ笛 鳥山由貴子

永遠の花野に軋む観覧車
左手が生む詩つぎのページに冬青の実
落し穴少し欠けてる冬の月
やさしさと赤いセーターちくちくす
雪降り積むかすかに蜂鳥の羽音
鳰を待つ夕暮色の椅子ひとつ
ハレの日ケの日鼠黐の実食べ尽くす
龍の玉まだあたらしき死者の声
水時計水の一滴ずつ凍る
冬銀河ガラスの階段踏み外す
一月のサイコロキャラメル展開図
誕生石は美しき血の色雪兎
手のひらに文鳥文庫二月果つ
フラスコの中で生まれてゆく海市
妄想の旅どの街も黄砂降る
わがままな私ときどきヒヤシンス
春泥を愛しどこまでも少女
街はきさらぎスパンコールを散らかして
春の蠅ガラクタの中にあるひかり
野遊びのようピロピロ笛を吹鳴らす

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