月野ぽぽな 第一句集『人のかたち』
以下左右社ウェブサイトより抜粋
https://sayusha.com/books/-/isbn9784865284188
第28回現代俳句新人賞、第63回角川俳句賞受賞の著者・待望の第一句集。
月野ぽぽなはニューヨークに暮らして、俳句という最短定型の民族詩を、日本人である自分の体(私は肉体とも身心とも言う)で消化しようとしている。ーー金子兜太
〈収録句より〉
街灯は待針街がずれぬよう
鳥よりも高きに棲むを朧という
ぶらんこの鉄に戦歴あるだろうか
母を地に還し椿の蕊そろう
ピッチカート蛍ピッチカート蛍
草の先から夕焼のひとしずく
エーゲ海色の翼の扇風機
一匹の芋虫にぎやかにすすむ
月を見るおいしい水を飲むように
途中下車してしばらくは霧でいる
初冬やヘブライ文字は火のかたち
凍つる夜をピアノの音の密ひかる
もうすぐで雪のはじまりそうな肌
ゆらゆらと初湯のところどころ夢
待春の自由の女神前のめり
【目次】
序に代えて 金子兜太
Ⅰ 待針
Ⅱ ぶらんこ
Ⅲ 一枚の雨音
Ⅳ 前のめり
Ⅴ エーゲ海
Ⅵ 見えないもの
Ⅶ 鼓膜
あとがき
【別冊栞】
安西篤「翼の記憶も新たに」
こしのゆみこ「雫になる途中」
日下部直起「異郷の幻想」
仲寒蟬「真のコスモポリタン」
鴇田智哉「うつろい、消えるもの」