第3回 海原新人賞

『海原』No.32(2021/10/1発行)誌面より

第3回 海原新人賞

【受賞者】
 木村リュウジ

【選考経緯】
 『海原』2020年9月号(21号)~2021年7・8月合併号(30号)に発表された「海原集作品」を対象に、選考委員が1位から5位までの順位を付して、5人を選出した。
 得点の配分は、1位・5点、以下4・3・2・1点とした。集計の結果、下表のとおり、木村リュウジの授賞を決定した。【本年より、従来の10名推薦から5名推薦に変更した】

【受賞作品抄】

Border 木村リュウジ
黄水仙散歩と旅の境目に
頬杖は時のほつれ目シクラメン
八十八夜乱筆乱文恋しくなる
冗談を届ける風がひとつ初夏
母の書くとめはねはらい麦の秋
夏の夜耳鳴りという吃水線
寒色のペディキュアを塗る太宰の忌
ほたるがりふたりそろってひとぎらい
詳しくはないけど虹の手話だろう
花糸瓜切り紙ひらくように朝
時々は姉をサボってほうせんか
台風が近づく赤いヘアゴムに
良夜かな背中に文字を書く遊び
レモン切る子午線を切るように
立冬や赤の減りゆくボールペン
花八手栞代わりの帯失くす
ふと父の問わず語りや龍の玉
風花に舟という舟やせてゆく
白鳥が来る目薬の一滴に
遅き日の海を手紙と思うかな

【候補作品抄】

陽炎に 大池桜子
夏痩せだわたしの中の優しさが
髪の色明るく街に埋没大暑
鳥渡るハンドソープを買う列に
ホットミルク混ぜる日記のように
風花って出してない手紙みたいだ
パッツンと切った前髪目借り時
水色のレースのようなヒヤシンス
花ロックつくばエクスプレス待つよ
陽炎に突っ込むバイク恋したり
渋谷交差点燕占いでは良い日

花篭り 立川真理
きのうより強い蚊のいる寝屋に行く
あたりまえを無くした年を去年と言おう
山水画に童走らせとんぼつり
解体は看取りのように菊師の子
別の日は別の顔する菊人形
コロナ禍は地球の言葉お正月
鳥帰る未完のままに自画像
花篭り鏡の少女と喧嘩して
書き溜めた蝶の俳句のひらひらと
虹の色校庭を踏みしむように夏座敷

無口な窓 ダークシー美紀
ほうたるや闇に眠れぬ目がふたつ
私信のよう晩夏の塀に白い羽根
どんぐりをふんだ足裏の睡くなる
ほろほろと崩れてぬくき蛇の衣
小鳥来て無口な窓を明るうす
ポケットの埃の手ざはり小六月
大綿虫おおわた湧いて集合時間に遅れます
冬泉を掬ふ指先失語症
雪平に遅春の粥をまた噴かせ
街ひとつ幽体離脱蜃気楼

豹 葛城広光
赤ん坊耳だけ大きくつくられて
釣鐘が小さくなって降ってくる
ヒキコモリコロナヨリソウ春の川
豹の足電車の床からぬっと出る
水銀のように団扇の光る面
ワンピース音波のような少女達
銀世界蹴鞠一つが蒸発す
村の漁師近所の鳥を食べちゃった
正月や蜘蛛が真っ直ぐ下降する
石庭に夕焼け紅鯨上陸す

モウロク 後藤雅文
春の夢ずーと笑っている私
ものの芽や空を斜めによじ登る
土間のある暮らし燕と住む暮らし
夏休み忍者学校手裏剣部
長い梅雨長い昭和のアーケード
焼き茄子のお尻モウロクしています
押印の不要に押印文化の日
女坂パンツに紅葉はいってる
木枯をリヤカーに乗せ弟よ
北風や尻が狡いと鼻がいう

蒼白 渡邉照香
白梅や骨一片のDNA
春の雷ゴッホの自画像髭もそり
転々と段ボール敷く木下闇
シヴァ神の踊る街這ふ青大将
宵闇や泉下のに吾子かぐはしき
地球いま挽歌漂ふ風の色
長き夜や息絶へし子の皮膚呼吸
洞窟に蒼白冬眠の日本兵
冬怒濤歩兵の心臓食みにけり
冬苺くらわんか皿よりこぼれをり

【海原新人賞選考感想】

■大西健司
①大池桜子 ②木村リュウジ ③立川真理 ④立川瑠璃 ⑤後藤雅文
 大池〈黒いワンピースを選んで竜胆〉〈ジェラシーはシンプルな金木犀〉。
 木村〈時々は姉をサボってほうせんか〉〈カーナビは海を走っていて小春〉。
 真理〈草矢放つ源氏の君の乱反射〉〈鳥帰る未完のままに自画像〉。
 瑠璃〈喪失のパズルの破片蝶といて〉〈未来図へ朱筆で点す秋灯〉。
 後藤〈焼き茄子のお尻モウロクしています〉〈猿股に翼冬空狭すぎる〉。
 第三回ともなると、やはり積み重ねてきたものが大事。いかにブレずに書くか、書き続けているかとなると自ずと上位は決まってくる。都会の雑踏を颯爽と歩く大池桜子は今年も外せない。そして木村リュウジはすでに実力者。
 立川姉妹は休むことなく、醒めた眼差しを社会へ向けている。浮ついたところがなく、すでに独自の世界をもっている。学生などという物差しは不要。
 しかし問題はここから、みんな紙一重のせめぎ合い。後藤の日常を斜に見ての諧謔味も捨てがたく五位に。そうなるとまだ大勢残ってしまい混乱。葛城広光、かさいともこやダークシー美紀、松﨑あきらも捨てがたく悶絶。宙のふうも気にかかる。

■こしのゆみこ
①木村リュウジ ②ダークシー美紀 ③立川真理 ④後藤雅文 ⑤宙のふう
 木村リュウジのとぎすまされた幻想的な情感表現に引き込まれる。季語が美しい。
  夏の夜耳鳴りという吃水線
  母の書くとめはねはらい麦の秋
  過去形の空をはがしてかりん生る
  寒卵もうすぐシンバルの出番
  遅き日の海を手紙と思うかな
 ダークシー美紀のてらわないやわらかさ。
  ほろほろと崩れてぬくき蛇の衣
  蛍火忌の鉛筆の芯とがらせる
  どんぐりをふんだ足裏の睡くなる
 立川真理の大胆で繊細な孤独。
  時の日やこんなに動かない地球儀
  昏るる音聴く為に焚く牡丹の炎
 後藤雅文のちょっと切ないユーモア。
  木枯をリヤカーに乗せ弟よ
  北風や尻が狡いと鼻がいう
 宙のふうの詩情、昨年からの飛躍に期待。
  錆びた鍵捨つれば深し戻り梅雨
  やまももの落花素足にさびしくて
 候補に吉田貢(吉は土に口)、松﨑あきら、渡辺照香、大池桜子、増田天志、葛城広光、有栖川蘭子、山本まさゆき、福田博之、大渕久幸等に注目。

■佐孝石画
①木村リュウジ ②有栖川蘭子 ③ダークシー美紀 ④宙のふう ⑤かさいともこ
 まず、各号から佳句と思われるものを全て抜き出す。その後、作者名を確認し、選んだ句数順に並び替え、作者ごとに句を書き移し見直す。そこでは数に拘らず、あらためて作品世界の密度と瞬発力(遠心力)、浸透圧を確かめ、最終的に総合判断する。
  母の書くとめはねはらい麦の秋 木村リュウジ
  詳しくはないけど虹の手話だろう 〃
  過去形の空をはがしてかりん生る 〃
  耳鳴りに明日のかもめを描き直す 〃
  はじまりの台詞に吃る冬菫 〃
 非常に微妙な感覚を言葉にしようとしている。この誠実な姿勢こそ作者としての「格」だと思う。「分かる分からない」「伝わる伝わらない」ではなく、感覚という未踏の地へ切り込む「覚悟」。彼にはそれがある。
  短夜やはじめましてを何度もいう 有栖川蘭子
  青嵐沈んでいるのが美しい 〃
  寒雷やそこには何もいませんよ 〃
 俳句は衆の文学と言われる。しかし彼女の作品世界には、他者を前にして戸惑う、脆い自画像が映し出される。それは自己愛とは異質の、不確かな救済感覚。自己を包む不可解なベールを解かんとする我が手と、他者が差し出しているかもしれない朧な手。呟きに似た彼女の俳句世界は、そのまま他者へと見開かれた彼女の希求の眼差しなのかもしれない。
 ダークシー美紀、宙のふう、かさいともこらの閃光の如き俳句力にも大いに惹かれた。
 ほかに大池桜子、増田天志、小林ろば、植朋子、飯塚真弓、荒巻あつこ、中村トヨ子、松﨑あきら、上田輝子、吉田和恵、小林育子、日下若名、遠藤路子にも注目した。

■白石司子
①立川真理 ②木村リュウジ ③ダークシー美紀 ④谷川かつゑ ⑤飯塚真弓
 第3回「海原新人賞」選考に当たり、原点回帰ということで、金子兜太師の「造型俳句六章」を再読。
 一位立川真理の〈涙もろき波長だったな柘榴の実〉〈銀杏落つアレルギー連鎖に君が居る〉〈解体は看取りのように菊師の子〉〈鳥帰る未完のままに自画像〉。
 二位木村リュウジの〈ほたるがりふたりそろってひとぎらい〉〈花糸瓜切り紙ひらくように朝〉〈自画像に足され白鳥は不機嫌〉。
 三位ダークシー美紀の〈横這ひに愚図つてゐたる秋の雷〉〈大綿虫おおわた湧いて集合時間に遅れます〉〈街ひとつ幽体離脱蜃気楼〉。
 四位谷川かつゑの〈紅葉且つ散る人間のままでいる〉〈白菜ごろり巻を緩めぬ思想だな〉。
 五位飯塚真弓の〈母という唯一確かなる夏野〉〈父の肺より十六夜の水を吸う〉などの、季語の斡旋の確かさによる具体と感受に共鳴。
 〈鮟鱇を食ふて経年劣化かな〉の大渕、〈落葉して人の姿になりにけり〉の有栖川、〈やつがくんだ。一角獸がてゐる〉の吉田(吉は土に口)、〈学校は大きな吃り冬の空〉の福岡などにも注目。

■高木一惠
①木村リュウジ ②松﨑あきら ③立川真理 ④大池桜子 ⑤後藤雅文
  自画像に足され白鳥は不機嫌 リュウジ
  青空という拘束郭公は破る あきら
  小鳥くるドナウデルタの沫くる 真理
  東京の孤独とか言いたくない月 桜子
  ものの芽や空を斜めによじ登る 雅文
 兜太先生の俳句日記(昭和54年)に「山の木や人との〈いのち燃える通い〉を目ざして作る」とあるが、新型コロナ禍の足止めで、世界的な人流の想像以上の進展ぶりに気付かされ、渡り鳥の姿も一層こころに沁みた。
 次点に〈切り絵師の鋏はなるる寒夕焼 ダークシー美紀〉〈汗光るわたしは黒人女性です 野口佐稔〉〈棘線に囲まれ墓地のイモ畑 増田天志〉を。また〈紅薔薇の好きな人にはわかるまい 植朋子〉〈満月をルパンのように手に入れる 近藤真由美〉ほか、有栖川蘭子、安藤久美子、飯塚真弓、遠藤路子、大渕久幸、かさいともこ、葛城広光、古賀侑子、小林育子、小林ろば、坂本勝子、宙のふう、立川由紀、立川瑠璃、仲村トヨ子、福田博之、藤好良、吉田和恵、吉田貢(吉は土に口)、渡邉照香、渡辺のり子等の作品に注目した。

■武田伸一
①大池桜子 ②渡邉照香 ③吉田貢(吉は土に口) ④葛城広光 ⑤木村リュウジ
 大池は新鮮かつ柔軟にして、表現にも破綻がない。昨年に続いて一位に推す所以〈東京の孤独とか言いたくない月〉〈風花って出してない手紙みたいだ〉。
 渡邉は人生の諸相を厚みのある作品にて表現〈洞窟に蒼白冬眠の日本兵〉〈清明の気を吸ひ込めよ父の体〉。
 吉田の端正な本格俳句も若手への刺激となること必定。〈かたつむりみどりの井戸のあたりかな〉〈隠元豆煮染める窓に海せまり〉。
 葛城はときどき暴走するがそれも若さの特権〈リモコンを芝生の上に忘れたる〉〈棚を開け隠した黒子をまた付ける〉。
 木村はときに安易に流されるがナイーブさ抜群〈ほたるがりふたりそろってひとぎらい〉〈自画像に足され白鳥は不機嫌〉。
 ほか、順序不同に松﨑あきら〈その児を救えなかった私達茅花流し〉。飯塚真弓〈燃えるのよ花も至誠もすべからく〉。大渕久幸〈鮟鱇を食ふて経年劣化かな〉。渡辺のり子〈わが骨のもろさのかたち冬の蝶〉。藤川宏樹〈恋文を丁寧に折る二月かな〉。ダークシー美紀〈雪平に遅春の粥をまた噴かせ〉。梶原敏子〈彼岸花黄泉平坂よく照らせ〉。植朋子〈銀杏落葉踏みしめ向かう湯灌かな〉。仲村トヨ子〈捨案山子倒されたまま寝息して〉。後藤雅文〈焼き茄子のお尻モウロクしています〉。ほか多士済々。
 また、立川瑠璃〈李香蘭語る祖母居て桃の花〉、立川真理〈きのうより強い蚊のいる寝屋に行く〉の姉妹は大学と高校の受験生。今回はあえて受賞の候補から外した。許されよ。

■月野ぽぽな
①木村リュウジ ②大池桜子 ③ダークシー美紀 ④立川真理 ⑤宙のふう
 木村〈ほたるがりふたりそろってひとぎらい〉に代表される、作者特有の情(ふたりごころ)の深みと広がり。
 大池〈風花って出してない手紙みたいだ〉の独特の感性と口語による伸びやかな表現力。
 ダークシー〈街ひとつ幽体離脱蜃気楼〉に見る、更に深まる直感力。
 立川〈解体は看取りのように菊師の子〉の感性の良さ。
 宙〈優しさにすこしおびえる春の雷〉に代表される、心という謎への探究心と感受性の冴え。それぞれに注目した。
 この他に期待する作者とその作者の独自性を感じる作品を挙げる。渡辺のり子〈とぐろまく髪をなだめて熱帯夜〉、大渕久幸〈秋思断つべくズブロッカのお湯割り〉、山本まさゆき〈アーモンドを冬の涙として噛る〉、後藤雅文〈夏休み忍者学校手裏剣部〉、梶原敏子〈百合の花聞かずにいれば諦めた〉、植朋子〈朧夜の起きたら虫になる話〉、渡邊厳太郎〈納骨の現場に届くメールかな〉、渡邉照香〈宵闇や泉下のに吾子かぐはしき〉、谷川かつゑ〈デンデラ野ビールを家に置いてきた〉、飯塚真弓〈父の肺より十六夜の水を吸う〉、武藤幹〈秋刀魚焼く無頼の過去をけむにして〉、かさいともこ〈遡上する鮭ボクサーの面構え〉。
 自分の感性を信じて次の一句を。

■遠山郁好
①葛城広光 ②大池桜子 ③日下若名 ④木村リュウジ ⑤飯塚真弓
  棚を開け隠した黒子また付ける 葛城広光
  リモコンを芝生の上に忘れたる 〃
  アイスティーもう味もなく溶けた別れ 大池桜子
  夏盛り馬臭かろうが我も獣 日下若名
  自画像に足され白鳥は不機嫌 木村リュウジ
  母という唯一確かなる夏野 飯塚真弓
 葛城句は、一読変な句と思わせるほどの着想のユニークさ。そして句のモチーフによって表現方法を変幻自在に操作する巧みさ。例えば、「黒子」の句では、くどい位に執拗に念の入った書き方をし、また「リモコン」の句では、何でもないことをさらっと提示し、あとは読み手の想像力に委ねるという手法。感心する。
 大池句、若い女性の気分やムードをうまく俳句のリズムに乗せて書いていて爽やか。
 日下句、体験を通して真実をみつめる目、その生々しいリアリティーは人の心を動かす。「我も獣」の把握は鋭い。
 この他にも、近藤真由美、吉田和恵、渡邉照香、吉田貢(吉は土に口)、遠藤路子、福岡日向子らに注目した。

■中村晋
①木村リュウジ ②大池桜子 ③渡邉照香 ④仲村トヨ子 ⑤吉田和恵
 木村リュウジ〈花八手栞代わりの帯失くす〉〈ほたるがりふたりそろってひとぎらい〉。力みがなくなり、柔らかい句が増えてきた。青年期独特の孤独が、軽妙な韻律にのって甘く響く。
 大池桜子〈ゆっくりと帰る星たちクリスマス〉〈冬苺怒らないのって愛?〉。表現意欲にあふれた作品群。独特の韻律感覚と言語感覚に惹かれた。定型の韻律と作者の個性とのぶつかり合いに、清々しい初々しさ。
 渡邉照香〈シヴァ神の踊る街這ふ青大将〉〈冬怒濤歩兵の心臓食みにけり〉。一貫して重いテーマに取り組んできた。力みから、言葉が空回りするときもあったかもしれない。しかし、イメージと言葉との歯車が噛みあったときのパンチ力は強く、他にない重量感。
 仲村トヨ子〈トランペット蛍が一匹飛び出した〉〈青蛙戦争知らぬ肉食派〉。奇をてらわない率直な句の愉しさ。そしてその句にある色濃い風土の匂い。
 吉田和恵〈遠蛙伯母は結婚推進員〉〈新米炊く夜汽車のように炊飯器〉。地方生活者の日常がさりげないユーモアとともに作品化されるところの魅力。
 ほかにも後藤雅文、近藤真由美、宙のふう、立川真理などにも注目。惹かれる作者多数。

■宮崎斗士
①吉田和恵 ②中尾よしこ ③後藤雅文 ④山本まさゆき ⑤野口佐稔
  あの ほら 言葉になろうとして冬芽 吉田和恵
  森の感情まいにち変わる冬はじめ 中尾よしこ
  カピバラと咀嚼してます行く秋を 後藤雅文
  夏はいつも角のパン屋のガラスから 山本まさゆき
  けいざいといのちてんびんさるすべり 野口佐稔
 私が担当している「後追い好句拝読」欄の一年間の結果に基づいて、以上の方々を挙げさせていただいた。以下、年間を通して印象に残った作品群のほんの一部を――。
  落蝉の羽音しーんとじっと虚空 遠藤路子
  東京の孤独とか言いたくない月 大池桜子
  亀鳴いて出口の分からない微笑 木村リュウジ
  泣き顔の落葉一枚陽にかざす 小林育子
  しみじみと身辺整理ごつんと冬 谷川かつゑ
  蛇口噛むように水が破れてくる 中村セミ
  学校は大きな吃り冬の空 福岡日向子
  月曜のトーストの耳広島忌 藤川宏樹
  満天の星へ投網を冬木立 増田天志
  貧乏からやや貧乏になるソーダ水 松﨑あきら

※「海原新人賞」これまでの 受賞者
【第1回】(2019年)
 三枝みずほ、望月士郎
【第2回】(2020年)
 小松敦、たけなか華那

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