雪 大沢輝一

『海原』No.37(2022/4/1発行)誌面より

第3回海原金子兜太賞受賞第一作〔3回連作・その3〕

雪 大沢輝一

切切と雪に雪降り潟泊り
霏霏と雪鴉よ白くなりなさい
雪のメモ解読しない潟の人

冬の潟ごっつんこする硬い風
寒い潟僕のそびらを僕が押す
潟の鳥毀れて雪になったきり
冬の潟老婆ぽつんと吹き曝し
冬眠の爺婆すでに虫だった
おっ母よ潟の夜も雪が匍う
潟風の聲雪雪と聞え来る

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