狐鳴く 佐々木宏

『海原』No.57(2024/4/1発行)誌面より

第5回海原金子兜太賞受賞第一作〔3回連作・その3〕

狐鳴く 佐々木宏

吹雪聞く玉音放送聞くように
流氷や農耕民族おうと言う
耳こゆび記憶凍傷になる順序
働いて働いて畏まる姉冬苺
氷橋いずれ切腹するつもり
落雪の音ありつくづく安部公房
雪うさぎ早産という情緒かな
古里はストリッパーのよう樹氷
狐鳴くまた鳴く人格変わりそう
二行ほどアンダーライン春の水

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