ヨロコブコロヨ 望月士郎

『海原』No.46(2023/3/1発行)誌面より

第4回海原金子兜太賞受賞第一作〔3回連作・その2〕

ヨロコブコロヨ 望月士郎

吾が妹を摘み草組みつ思い川
詫び景へ椿は奇抜平家琵琶
水張りて春田の垂は照り弾み
涅槃西風釈迦の手の火車死人跳ね
半ば摘み野に措く鬼の三葉かな
今もなお花影の家か妻も舞い
老いの名は大観描いた花の庵
策なきを悦ぶ頃よ翁草
遠の田は霞の御簾か機の音
蹴上がるは辞世の伊勢路春が明け

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