そのままで 田中信克/第7回海原金子兜太賞受賞第一作〔3回連作・その3〕

『海原』No.77(2026/4/1発行)誌面より

第7回海原金子兜太賞受賞第一作〔3回連作・その3〕

そのままで 田中信克

高層の緩和療棟春の虹
初雷や脈ひとつまた脈ひとつ
痩せてゆく肩と肋と月朧ろ
車椅子押すああ富士山が見えるね
またひとりいなくなる朝シクラメン
やわやわと月欠けてゆく骨密度
眼の濁りとろんと桜月夜かな
花の冷え身体そのままよく眠る
春茜あなたが泣かぬことの意味
桜色して延命治療見了りぬ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です