2026年7月は7/18(土)にZOOM句会を実施。
今回も回答任意でアンケートを実施。
Q:夏におすすめしたい旅先、場所、スポット、ミュージアムなどをおしえてください
結果はこちら
句会報:2026年7月「海原オンライン句会」
【高点句】(5点以上)
君のゐるいつもの距離や夏期講座 貞行
ヒロシマや素足にみづの鳴りやまず 小西瞬夏
トマト熟れたか十八歳の選挙権 菅原春み
ことばから離れて群れている蜻蛉 男波弘志
足跡を足跡が消し大百足 木村寛伸
青空に求愛してよりみみず死す 石鎚優
生きるといふ意志のや兜虫 川嶋安起夫
炎天やティッシュ配りの太き腕 佐藤詠子
あの夏の海をみかけて途中下車 矢野二十四
【参加者各一句】(高点句以外)
戦する戦忘れてしまふから 有馬育代
業平忌人生ほぼほぼ死角です うづき巴那
不機嫌な少年寝癖に南吹く 花舎薫
傘さして青田の畦の茅花まで 大文字良
血の匂いしてデモのあと虹のあと 田中信克
田水張る写りきらない近江富士 樽谷宗寛
道なりに曲がつてゐたる青田波 長谷歌子
父すらも知らぬ戦前敗戦忌 野村正孝
この距離の愛とも違ふラムネ玉 原洋一
蝸牛頭を出さぬ日もありぬ 夢咲希
梅雨ぐもり蛾のねりのぼる硝子窓 青山雀
彼を待つ木綿レースの夏帽子 イチゴ
君はさういふのかさうか五月雨 井上べん
白日傘たたみ赤子を抱き寄する 桂凜火
砂山のとんねるをほるゆびとゆび 小松敦
消印は雨に流れし落し文 坂川花蓮
梅雨の窓スティーブンスンの詩の中へ 丹羽あやこ
独寝や梅雨の溢るる樋の音 満葉
がんばつた父よおやすみあぢさゐ満つ 石川まゆみ
封をしたままの気持ちやソーダ水 伊藤ペンタ郎
滝壺や胸の中の熱帯夜 葛城広光
軍犬碑手向けたダリアはや黒し さかいまゆみ
こしかたの我が人生も蟻のごとし たんぽぽ
夏の蝶ぽとりと堕ちて透明に 姫
凌霄花明日は明後日を待って 平田薫
青葉時雨存在論的蜂起 大渕久幸
逢はむとせば逢へぬひとなし梅雨曇 川崎拓音
雪渓や見あぐる谷に眠るごと 岸友之
膝上に日傘畳むや浜の果て 源汰
若竹の伸びと人口減る速さ 野口佐稔
梅雨明けや真ん中行こう杉並木 野口思づゑ
ゆふだちやアルトそぷらのテノールが田に 坂内まんさく
梅雨明けや二番ゴリラの眼が飛んだ 樹下修司
醪香を両手ですくい呑み込んで 岡田誠
◇
今回は初参加4名を含む43名。最高点は9点「君のゐる」、人間関係の「距離」を詠んだ類想句はよく見かけるが、「いつもの」にリアリティあり。「夏期講座」に郷愁や青春性を感じる人は採った。8点「ヒロシマや」、片仮名表記に原爆の広島を思い、灼熱の苦しみに水を求めた犠牲者を慰霊する気持ち。平仮名の「みづ」が優しい。季語としては「素足」よりも「ヒロシマ(広島忌)」の印象が強い。「鳴りやまず」のイメージが難しいとの意見もあった。7点「トマト熟れたか」、反語をもって現在の選挙制度に関する問題意識を詠んでいるのだが、「トマト熟れたか」の明るく瑞々しい喩えにポジティブな期待を感じる。6点「ことばから」、逆に言葉に拘泥して群れている人間を思ってしまう。「蜻蛉」にとっては得体の知れない平仮名の「ことば」なのだろう。人間を持ち出して深読みせずに、自然の有様として把握する方が感慨深いとの声もあった。同「足跡を」、着眼点がユニーク。自業自得な人間行動の喩えとしても深読みできる。「大百足」と最後に答え(オチ)を言ってしまっている、との意見に頷く人も。以下5点句「青空に」、望んでも掴めずに逝く切なさ、儚さ。「生きるといふ」、態度や言葉ではなく「形象」からその「意思」が直に感じられる。「や」が潔い。一夏の寡黙な命。「炎天や」、日常の光景を素直に描写しているが「太き腕」に読者それぞれのドラマが生まれたようだ。「あの夏の」、ノスタルジック、そしてすごく自由。
今月の「金子兜太・語録」は、『海程』49号より「平明で重いものを」です。引き続き〈詩の本質は抒情である(金子兜太)〉について、ご参考までにどうぞ。
「海原」ホームページ「海原テラス」コーナーの
平明で重いものを 金子兜太 をご覧ください。
(記:「海原」小松敦)

