2026年4月は4/25(土)にZoom句会を実施。
今回も回答任意でアンケートを実施。
Q:俳句のタネ、素材やテーマは、どのようにして見つけていますか?
結果はこちら
句会報:2026年4月「海原オンライン句会」
【高点句】(5点以上)
寺の名をきいて忘れる藤の花 平田薫
春眠や遠く大工の鋸の音 花舎薫
登校の列が蚯蚓の死を抜ける 小西瞬夏
半仙戯肉体いつも遅れをり 小西瞬夏
花の雨今を忘れる母といて 田中信克
百年を揺るる椅子あり花の雨 石川まゆみ
世話掛けてなんて言ふなよ春の月 原洋一
一声の後一村の蛙鳴く 矢野二十四
ひとになる途中の瞼仏生会 男波弘志
鉛筆の文字カクカクと四月来る 桂凜火
フクシマの瘡蓋はがし菜種梅雨 夏谷胡桃
佐保姫に見ゆるピッコロ奏者かな パール
蛇出づや食うてくだけの銭はある 原洋一
拝啓と書いてひと日を春時雨 矢野二十四
【参加者各一句】(高点句以外)
夫帰る春夕焼けに染まりつつ イチゴ
春愁を一匙足して抹茶ラテ さかいまゆみ
工事中の信号五秒桜散る 大文字良
きしむ戸の音に兆せる春の闇 前田夏菜子
背もたれのやわらかき椅子入社式 伊藤ペンタ郎
身のうちの蠢めくものも春嵐 井上べん
花冷えの底の古書店嗅ぎにゆく 榎本祐子
能舞台冥くくちなわ口噤む 大西健司
先生と私とKと桜蘂降る 大渕久幸
山桜おほきく吸つてホルン吹き 川崎拓音
賑やかな会抜け出せる春の月 川嶋安起夫
笑ふには理由要るらし春の昼 木村寛伸
老蝶の暴走罰する法がない 後藤雅文
病院の前は薬局オキザリス 坂川花蓮
花散るや大道芸人投げし輪に 塩野正春
実家とは母在す処花おぼろ 長谷歌子
幾枚も切手貼り足す花の冷 丹羽あやこ
脳が飴舐め始め春うらうらら 野口思づゑ
銀紙に包むおにぎり花の冷え 信子
花筏舳先分かつや薄紅 あかり
人類の愚行の手触り春絨毯 樹下修司
ひこばえてまだまだ話し足りなくて 小松敦
朝ざくら空の広さへ匂いたつ 貞行
もしかして父と最後の花見かな 野村正孝
「腹へった」丑三つ時の猫の恋 満葉
さくら痴る穢土をいつとき忘れたく 有馬育代
一白頭波に乗りたり豆の花 石鎚優
こんな日は恋人つなぎ櫻雨 石橋いろり
おぼゑあり都忘れの名のかぎり カラビンカ
少女てふ場面緘黙月おぼろ 源汰
啖呵切る婆の正体すみれ草 樽谷宗寛
どの花も懸命に咲く春の庭 たんぽぽ
青き踏む外国人とともに踏む 野口佐稔
春愁ひゴッホのトルソーに深き穴 姫
夜のカフェテラスに行ってきたのと初蝶 坂内まんさく
◇
今回は46名。うち海原所属は21名で、他の結社や無所属からの参加が半数以上。老若男女、初心者からベテランまで多彩。最高点は8点「寺の名を」、「藤の花」がどっしりとしており、寺の厚みを感じさせる。「寺の名」よりも「藤の花」が印象的なのだ。「忘るる」と文語体の提案もあった。7点「春眠や」、半睡の不思議な聴覚。今時は電動鋸の音か?さもなくば聞こえまいとの意見あり。同「登校の」、道に蚯蚓が干からびているのだろうが、「死骸を跨ぐ」のではなく「死を抜ける」ところが眼目。「死」そのものの日常性を非日常的に描いている。一方で、大げさという声も。同「半仙戯」、気持ちが先に揺れている感覚がよくわかる。「半仙戯」、「肉体」の漢語表現の硬さに賛否あり。同「花の雨」、切なくて愛おしい。この「今」を忘れまいとする気持ち。6点「百年を」、静かに歴史が揺れている。同「世話掛けて」、親子、夫婦、男女、読者それぞれに想像。同「一声の」、音も空間も拡がる。以下5点「ひとになる」、胎児の瞼と釈迦半眼の瞼が重なる。「鉛筆の」、「カクカク」に緊張感や人柄を感じる。「フクシマの」、未だ治っていないのに治ったことにして剥がされる痛み。「佐保姫に」、「ピッコロ」の明るくて開放的な音色が聞こえる。「蛇出づや」、前向きで潔い。「拝啓と」、春の一日をゆったりと味わう余裕。
今月の「金子兜太・語録」は、『俳句の本質』(永田書房1984年)からの抜粋、「俳諧ーー現代のために」です。
「海原」ホームページ「海原テラス」コーナーの
「俳諧ーー現代のために」をご覧ください。 (記:「海原」小松敦)

