句会報:2023年6月「海原オンライン句会」

 「海原オンライン句会」6月は17日(土)にZoom句会を実施。二十六名参加。前回と何人か入れ替わり、海原以外の方やお誘いあわせのご見学のみの方もいたりして、今回も盛り上がりました。三句出し五句選で合評。
 今回は高点句合評の後、零点句から逆のぼりで、点数の低い句を重点的に全句合評を行いました。勉強になった!と好評でしたので、次回以降もこのやり方を予定。
 7月分、申込受付中です(申込期限6/30迄):https://kaigen.art/online/

句会報:海原オンライン句会:2023年6月17日

【高点句】(五点以上)
俳句部員募集プールの底の青 小西瞬夏
拗(こじ)らせてはしびろこうでゐる薄暑 柳生正名
「夏帽子あります」ウインドウに空 宮下由美
西口を出るどこかに虹は出てないか 矢野二十四
生き延びた匂いだ潮干狩の昼だ 安部拓朗
青葉闇くぐればどこか違う空 川嶋安起夫

【参加者各一句】(高点句以外)
逃がそうとティッシュにつまむ蜘蛛に胴 石川まゆみ
帰りゃんせ未生の海へ青すすき 石鎚優
眉濃ゆく描いて黒南風連れてきた 榎本祐子
縫ひつける母の名やさし半夏雨 大浦ともこ
チャーミングに老ひたきものよアカショウビン 小田嶋美和子
司馬遷がシャレコウベを並べたり 葛城広光
ハミングをかき混ぜ風のレモネード 桂凜火
ありていに言えば六十路は走り梅雨 木村寛伸
鍬を据へ土の汗する夕涼み 小池信平
ねじ花のネジで締めたい君の顎 後藤雅文
暗黙に突き出されたる心太 小松敦
嘘つきの口に茗荷の子がしゃきしゃき 田中信克
深山の風わが手包めり御手洗川 谷口道子
犀の背に群がる小鳥雨期近し 樽谷宗寛
ひとつ覚えの葭切のようミサイル報道 中村晋
叔父が逝く今年初めて蚊をつぶす 坂内まんさく
指の腹に黒胡麻卯の花腐しかな 藤川宏樹
母はまた蛍袋へ入り込む 増田暁子
薔薇浮かぶタイムリープのバスタイム 満葉
直葬といふ儀式あり春朧 吉澤恭香

 二十六名参加。三句出し五句選で合評。七点「俳句部員」、映像鮮やか、物語を喚起する、プールの水に心情の揺らぎを感じる。夏だけでなく年中募集中だろうとも。七点「拗らせて」、「はしびろこう」の斡旋が見事。「ゐ」の文字にはしびろこうの「眼玉」が見える、「薄暑」の疑義に対し「冷や汗」感あり良しとの意見。「拗らせて」まで書かない方が想像が膨らむ、とも。六点「夏帽子」、昭和レトロな街角に共感多し。何屋かわかりずらい、景が不自然との声もあり。五点「西口を」、西口の錆びれ感、虹は出てないことを承知で呟く心理に共感多し。「西口や」ではなく「西口を出る」がよい。五点「生き延びた」、むせ返るような磯の匂いの生々しさ。五点「青葉闇」、神隠し的異次元空間をシンプルに現出、「くぐれば」より「くぐりて」がベターとの意見。

(記:「海原」小松敦)

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