埼玉県現代俳句大賞:第21回(北上正枝)&第23回(森由美子)

埼玉県現代俳句協会が毎年実施している「埼玉県現代俳句大賞」にて、お二人が大賞受賞いたしました。

第21回埼玉県現代俳句大賞《大賞》

「ゆくりなく」北上正枝

膝ついて祈るかたちに苜蓿
よく乾く赤児の肌着竹の秋
とりわけて烟るむらさき諸葛菜
ドロップ缶のぞく憲法記念の日
書き出しが決まらぬ手紙残る鴨
行過ぎた風よび戻す滑莧
葉桜や惚けないように耳のつぼ
梅雨寒し絵本の家に鍵かけて
老ゆるほどぎらぎら生きて茄子の花
人生にK点があり草の絮
雲水の列のまっすぐ小鳥来る
秋夕焼石に石積む遊びせり
ゆくりなく晴れて青大将穴に
寂しさに順番は来る冬桜
色のない人の行き交う極寒

埼玉県現代俳句協会報第90号

第23回埼玉県現代俳句大賞《大賞》

「ひと恋し」森由美子

鳥雲に生家はやさしきひかりの中
眠るまで朧かなでるオルゴール
春彼岸謎めくセピアの写真帖
籐寝椅子ゆったりたっぷり老いは来る
白玉や幼なじみの嚙みごたえ
ががんぼふわふわあの人ももういない
ひと恋し葡萄の種をさぐり出す
堪えかねて気化してわたし芋の露
虫たちの軽い寝息をきく花野
秋空を堂々占拠蜘蛛の陣
背後より不要不急という寒さ
「沈黙」を閉じれば遠く冬の海鳴り
狐火を抱き虚しさを口にせず
からからと乾鮭さばさばとひとりかな
ながらえて寒夕焼けという極み

埼玉県現代俳句協会報第86号

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