2024年夏【第7回】海原通信俳句祭《結果発表》

『海原』No.61(2024/9/1発行)誌面より

2024年夏【第7回】海原通信俳句祭《結果発表》(一部抜粋)

 第7回を迎えました「海原通信俳句祭」。参加者数は計98名。出句数は計196句でした。大勢の方のご参加、あらためまして厚く御礼申し上げます。
 参加者全員に出句一覧を送付。一般選者の方々には7句選(そのうち1句特選)、25名の特別選者の方々には11句選(そのうち1句特選・10句秀逸)をお願いしました。
 以下、選句結果、特別選者講評、一般選者の特選句となります。
(まとめ・宮崎斗士)

※詳細は「海原」誌面をご覧ください(以下上位句発表部分のみ掲載)。

☆ベストテン☆

《33点》
初燕五感にすつと糸通す 小野地香
《14点》
ゆれてコスモス人に好意をもつ自由 佐々木宏
ラムネ玉からんと鳴った離婚届 宮崎斗士
しあわせに斜面のありて青バナナ 室田洋子
紙風船ひしゃげた心ぽんと突く 森由美子

《13点》
山椒魚闇の一部が顔となる 三好つや子
《12点》
古代人の声ひそひそと蝉の穴 三好つや子
《11点》
背中から羽化をうながす扇風機 石川青狼
蝉しぐれ昨日のことがむかしむかし 芹沢愛子
赤蟻の行列ぶつかって反戦 高木水志
ひまわりに囲まれている無口かな 田中信克
ゆりかごや上総甘藍ゆるく巻く 遠山郁好
海の日の海を見ている学徒の碑 藤田敦子
沙羅の花多分あなたの声だろう 室田洋子


【10点句】
子規ひとり破船のような夏がある 宮崎斗士
家系図の不明の箇所に天の川 茂里美絵
【9点句】
半夏生能登の塗椀手に包み 安西篤
デイゴ咲く国家なんぞは須可捨焉乎 河西志帆
昼寝覚め良き夢ばかり盗まれる 木村寛伸
新緑の影という影はラッパー 黒岡洋子
いま修羅をみてきたような花十薬 平田薫
アンニュイと安寧毛虫焼くけむり 堀之内長一
八月六日標本箱に翅ひらく 望月士郎
梅雨深し歪んでいるから人間です 森由美子
教室に紙のせせらぎ雲の峰 柳生正名
【8点句】
消去法何にも残らず夏の雨 綾田節子
吐息ふといつしか漣いつしか夏 伊藤淳子
鬼灯やあねいもうとは地味に老い 岡村伃志子
日から傘独り歩きに慣れました 北上正枝
身体中まつり太鼓のバチとなる 高橋明江
「俳句造形論」老境に曝書かな 樽谷宗寬
桐咲いて未だ心に不発弾 藤田敦子
朝の虹立禅の声わたりくる 船越みよ
ヤマボウシすぽんすぽんとメール来る 松本勇二
風鈴やどうやら毒が抜けたらしい 矢野二十四
【7点句】
平和の礎令和生まれの子が洗う 伊藤巌
青鷺の小さな孤独漣す 伊藤淳子
花藻澄むときどきひかる人の声 川田由美子
はんざきや移民は船でやってくる 河西志帆
あじさいの色どの辺り余命ふと 川崎益太郎
秩父より付いて来たりし蝉の殻 小西瞬夏
思想家ゐて夢想家ゐてわらふ紫陽花 すずき穂波
日に透いて若葉と吾のうらおもて 高木一惠
折りたたむは妣の言の葉星涼し 竹田昭江
ライバルに会えるときめき夏帽子 梨本洋子
とうきびの神の摂理に齧り付く 嶺岸さとし
【6点句】
歩くほど離れる昭和梅雨の町 大沢輝一
草に禾石に臍あり慰霊の日 桂凜火
鳥渡る鏡に逆をゆく秒針 北上正枝
終活に夢中で死ねぬ大夕焼 小林育子
追いつかぬようにゆっくり蝉しぐれ 小松敦
無政府主義まなぶたを這う青蜥蜴 鳥山由貴子
海洋放出雷雲へんにあかるいのだ 中村晋
船で着く神々のあり蛍の夜 三浦二三子
【5点句】
なみあとは風の自画像いわし雲 赤崎冬生
被爆地の祈り吸い上げ新樹光 安西篤
ががんぼが客人小さい美術館 安藤久美子
ペガサスの銀の羽降る白夜かな 榎本愛子
子供部屋ときどき蝉を鳴かしたり 大沢輝一
波音遠く私は葱をきざむ人 大西健司
蛍火や困民党の反故の文 桂凜火
癌がやってきた風神と雷神と 川崎千鶴子
蛍火のひとつ逸れゆくは逡巡 北村美都子
しろつめくさ巻かれし手首さしだしぬ 小西瞬夏
人体ちう一両列車星空へ 十河宣洋
柿若葉びっしりエンディングノート 田中信克
朝日全しトマトにトマトの影は濃く 中村晋
被災半歳夏鳥瓦礫をいぶかしむ 野口佐稔
その青き日の次の日の花クレソン 平田薫
アフリカ出でヒトは文字化け原爆忌 藤好良
煮崩れてゆく吾がカボチャ吾が頭 武藤幹
ヒロシマや輪になって差すうしろ指 望月士郎
盤の上入道雲の立つ王手 柳生正名

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