2023年冬【第6回】海原通信俳句祭《結果発表》

『海原』No.57(2024/4/1発行)誌面より

2023年冬【第6回】海原通信俳句祭《結果発表》

 第6回を迎えました「海原通信俳句祭」(「兜太通信俳句祭」改め)。参加者数は計96名。出句数は計192句でした。大勢の方のご参加、あらためまして厚く御礼申し上げます。
 参加者全員に出句一覧を送付。一般選者の方々には7句選、23名の特別選者の方々には11句選(そのうち1句特選・10句秀逸)をお願いしました。
 以下、選句結果、特別選者講評となります。
(まとめ・宮崎斗士)

※詳細は「海原」誌面をご覧ください(以下上位句発表部分のみ掲載)。

☆ベストテン☆

《25点》
切り取り線に沿って長生きして小春 宮崎斗士
《21点》
耳たぶは寂しい冬のかたつむり 大西健司
《16点》
そらみみの音のふえゆくふゆすみれ こしのゆみこ
《14点》
ふくろうは寝たか酔い潰れて父よ 加藤昭子
《13点》
思っていた老いとは違うふゆざくら 芹沢愛子
牡蠣すする無心にすする別れかな 室田洋子

《11点》
真冬真夜ごうごうと空入れ替る 篠田悦子
着ぶくれて着ぶくれて難民の波しづか すずき穂波

《10点》
「熊のあります」賛否あります 石橋いろり
歳月という探しものかな小鳥来る 伊藤淳子
湯豆腐や定規のような人と居る 加藤昭子
父の匂いがうずくまっていた手拭い 河西志帆
もう何もしない刀自なり寒牡丹 北上正枝
冬林檎きのうはすでに傍観者 竹田昭江
未来には鳥の渡りの中に俺 松本勇二
蜜入りの林檎のようなジャズ齧る 山中葛子


【9点句】
志功女菩薩胸乳むなぢに冬陽ゆたけしや 安西篤
冬日向プラットホームという疎林 尾形ゆきお
戦場の聖夜毛布に子を抱く 田中信克
片付かぬもろもろ熊よ早く寝ろ 藤田敦子
アンモナイト自虐と書いて消して雪 茂里美絵
【8点句】
てのひらにも遠浅のあり鷹渡る 赤崎冬生
膝痛しやっさもっさと冬に入る 小田嶋美和子
秋の蝶毀れしものの影を吸う 川田由美子
折れやすき洗濯ばさみ暮早し 北上正枝
やはらかな風邪を貰うて老いが恋 木村寛伸
むささびの山鳴りときに師の寝息 篠田悦子
わたくしも過客のひとり冬菫 宙のふう
まだ誰の言葉もなくて芒原 丹生千賀
死ぬ気がしない水餅の黴落とす 船越みよ
魂の棘を抜くなり日向ぼこ 三好つや子
丸善に亡夫来てるかも文化の日 森由美子
八重葎我が身を縛る我がこころ 森由美子
からだふと木枯し一号ふとたてがみ 山中葛子
【7点句】
シンプルなハツユキ原点はキミだね 石川青狼
冬の流星すらすらと手を洗い 伊藤淳子
雪のあね雪のいもうと雪うさぎ 望月士郎
揺れゆれるコスモス或るときは訃報 茂里美絵
初雪や産着ほのかな桃のいろ 渡辺のり子
【6点句】
木に登る秋の終りが見えるはず 大沢輝一
冬眠にもいろいろあってレノン聴く 佐々木宏
霜柱ひとりとひとりとひとり 芹沢愛子
山茶花や光あつめて素顔だな 高木水志
行儀よい雁が来るから生きる気に 舘岡誠二
それぞれの日付が騒ぐ初暦 東海林光代
種茄子自称人間探求派 松本千花
虫を聴く国に生まれて腕まくら 松本千花
牛の骨正しい冬を待っている 峰尾大介
冬の蜂無神論者の眼をしてる 室田洋子
白鳥来水面をすべりゆくボレロ 渡辺のり子
【5点句】
戦争の積木崩しの藪枯らし 川崎千鶴子
欠点は長所の欠片冬の虹 川崎益太郎
老人にぽっかりと洞 日短ひみじか 北村美都子
観音の千手冬冬冬ガザに 高木一惠
水鳥やゆらりと許し飛び立った 高木水志
月翳るインティファーダの深傷かな 藤玲人
木の葉髪三年日記とう賭に出て 東海林光代
うっすらと鉛筆の痕雪催 鳥山由貴子
爪先に枯野来ており旅たくらむ 丹生千賀
兜太師の寂声曳いて白鳥来 船越みよ
無欲です山楂子の実も枸杞の実も 堀之内長一
雪明り心象の白い象がくる 望月士郎
裸木を抱き心音を聞いてます 森鈴
旧仮名でふはふはと冬てふだつた 柳生正名
昭和九十八年木枯なお帰らず 柳生正名
セーターの似合ふ人より句集来る 矢野二十四
父の愛傾き易きカリンの実 横地かをる

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