第3回海原全国大会 レポート(一部)

『海原』No.66(2025/3/1発行)誌面より

第3回海原全国大会 in 静岡
2024年10月26日(土)~10月28日(月)
於 ホテルサンバレー富士見

詳細レポートは『海原』誌面をご参照。以下、事前投句の高点句など一部を転載。


◆第一次句会・事前投句の高点句 *()内は得点。

性別欄に「すすき」と書いて揺れてます 宮崎斗士(17)
レモンぎゅっと生きるちからを確かめる 森由美子(15)
夫婦とは和紙を重ねるように月 佐孝石画(13)
秋めくとノート孔雀のふりをする 佐々木宏(12)
晩秋の再会針なしホッチキス 松本千花(12)
火取虫とむらいに来て暴れけり 石川義倫(11)
絶版を刷るやうに星流れけり 三枝みずほ(11)
蜜豆のひかりのような純文学 室田洋子(11)
考える葦ほろほろともの忘れ 森由美子(10)
蜩やだれにも会わぬ母の国 横地かをる(10)
葛の花方位磁石がずれている 北上正枝(9)
貝殻釦きちんとはめて白鳥来 こしのゆみこ(9)
くずし字の消えゆくように秋の水 齊藤しじみ(9)
白露降る石人石馬の傷深し 樽谷宗寛(9)
天蚕糸のような雨わたくしに秋蝶に 鳥山由貴子(9)

◆事前投句 特別選者の特選一句抄

【安西篤選】夫婦とは和紙を重ねるように月 佐孝石画
【大西健司選】葛の花方位磁石がずれている 北上正枝
【川田由美子選】瓦礫めくるやう秋蝶発たせけり 小西瞬夏
【こしのゆみこ選】性別欄に「すすき」と書いて揺れてます 宮崎斗士
【小西瞬夏選】約束の旅へひとかたまりの霧 横地かをる
【小松敦選】蜩やだれにも会わぬ母の国 横地かをる
【三枝みずほ選】短詩わが銀河にそよぐしのぶ草 高木一惠
【芹沢愛子選】考える葦ほろほろともの忘れ 森由美子
【十河宣洋選】瓦礫めくるやう秋蝶発たせけり 小西瞬夏
【高木一惠選】地を踏んで訪問介護こぼれ萩 野口佐稔
【武田伸一選】「明日」という亡父の筆跡いわし雲 宮崎斗士
【田中亜美選】約束の旅へひとかたまりの霧 横地かをる
【遠山郁好選】霧は棚田を縫い合わせゆく。母の乳房 藤野武
【中村晋選】鳥渡る特攻兵の端正な遺書 小林育子
【野﨑憲子選】駿河へと峡をとびたつ秋蛍 疋田恵美子
【藤野武選】晩秋の再会針なしホッチキス 松本千花
【船越みよ選】竹の春あなたのうたう詩の向こう 桂凜火
【堀之内長一選】火取虫とむらいに来て暴れけり 石川義倫
【望月士郎選】洗面の鏡に薔薇の後頭部 ダークシー美紀
【山本まさゆき選】晩秋の再会針なしホッチキス 松本千花
【横地かをる選】天蚕糸のような雨わたくしに秋蝶に 鳥山由貴子
【若森京子選】龍淵に潜むナショナリストの鬱 齊藤しじみ

◆大会作品(前掲作者を除く一句抄)

行く先は遺伝子の指示鷹渡る 赤崎冬生
木守柿殺風景な家族です 綾田節子
師の在らぬ今日まんじゅしゃげ曼殊沙華 安西篤
車前草の野は意固地だがパノラマ 安藤久美子
愛であるこの大変なとろろ汁 石川まゆみ
秋空と海を分かちて踊り子1号 石橋いろり
瞼なき一個の月がついてくる 榎本祐子
萍の水のささやく老いるなと 遠藤秀子
君は幸せなんだねレモン切る 大池桜子
筆箱でどんぐりが鳴るランドセル 大池美木
手のひらに富士さん引き寄せ良夜かな 太田順子
実柘榴や殺生石は濡れており 大西健司
大夕焼瀬戸を我が血と飲み干せり 岡田奈々
彼岸花村の境を整える 奥山和子
数多の小啄木鳥金毘羅山のカフェテラス 神谷邦男
幼子へ笑えば文字の笑う秋 川崎千鶴子
露けしやおのおの私であるために 川田由美子
星月夜カヤネズミだだって断捨離 河原珠美
畏みて白桃を剥く顔黙る 北川コト
課長席空いております扇風機 後藤雅文
笑い止むように遠くへ秋の虹 小松敦
ビル街の差し色になるアキアカネ 島村典子
水飲みて若やぐからだ草の花 菅原春み
すぽっと抜ける記憶のように流れ星 芹沢愛子
月夜かな戦場揺れるモノトーン 十河宣洋
短詩わが銀河にそよぐしのぶ草 高木一惠
秋時雨趣味のごと読む死亡欄 武田伸一
草の花句座に日暮れのありにけり 田中亜美
気化液化秋がとろんと眠くなる 田中信克
晩夏光きらめく川に漢ら立つ 田中怜子
白昼のどこへ隠そう秋出水 遠山郁好
カメラを視るガザの眼痩せた秋刀魚の目 中村晋
行き行きて赤はこの朱曼珠沙華 中村道子
見返る影よ十月の魚になる 野﨑憲子
真葛原女体のような家屋敷 日高玲
自然薯掘る母の誤解を説くように 船越みよ
一粒の暗黒橡の実渡される 堀之内長一
秋思ふとエアプランツを沈めたり 松本直子
へちま揺れ還暦現役コルセット 峰尾大介
一人居の白き横顔蟋蟀鳴く 深山未遊
一面の鰯雲なり空が海 三好三香穂
はらからとはららご食べている故郷 望月士郎
水母ふわふわ二人して旅疲れ 森武晴美
地に刺さる曼珠沙華刺さらずに俺 柳生正名
ぎんなんやつぶやき誰も拾わない 山下一夫
瘡蓋をくすぐっている秋の風 山本まさゆき
狗尾草エンディングノートは白紙 横田和子
晩節の節切れつるべ落としかな 若森京子

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