『海原』No.76(2026/3/1発行)誌面より
第7回海原賞受賞 特別作品20句
未来圏 三枝みずほ
寒暁を受けたる身体原始の火
地球儀回す正しさは正しさは
わがままって静電気のよう冬日向
夕焚火ことなき顔となりゆけり
読書灯夜の継ぎ目へ入れる指
冬の噴水今なら越えられそうな夜
寒晴れや葉書はいちまいの光
手放した風船に空ついてゆく
がらくたのだんだん巣箱めく深夜
逃避癖羊数えてゆく春よ
蝶ほどの薄さ故郷去る切符
黒鍵は燕だったか転調す
ぶらんこの揺れてる間許されて
空までの大ざっぱな地図つばくらめ
未来圏たんぽぽの絮飛ぶところ
囀りや人のいつしかよちよちす
春の雨ゆっくり母の音になる
働いてひたすら柳くぐりおり
春雪という掴めない白がある
三月尽感情的な雨音だ

