『海原』No.76(2026/3/1発行)誌面より
第7回海原新人賞受賞 特別作品20句
今日の春 小林育子
白梅のこぼす光を道として
多摩川と旅するようにしゃぼん玉
まぶしすぎて笑うよネモフィラの海
春色の試着ってこんなにも勇気
ニラ玉の味決まらない片恋です
春愁は薄桃色のふせんかな
ペガサスの羽生えてきたミモザの日
朧夜にかちりと母の黒真珠
春三日月あなたを忘れたらごめん
手を添える踏みにじられた蒲公英に
三月や家族写真の海は鈍色
彼岸入り父はいつでも粒あん派
われよりも強き背骨や桜鯛
終活は白木蓮の始末から
花篝湯がわくほどの想い消え
菜の花におぼれる野垂死もよし
剥製よ在りし日の桜吹雪よ
靴紐のほどけて八重桜の下
青空の今落ちてくる紫雲英田に
深々と両手つつまれ春の土

