『海原』No.66(2025/3/1発行)誌面より
第6回海原新人賞受賞 特別作品20句
フラペチーノがもう飲めない 福岡日向子
昨日よりできてないこと日脚伸ぶ
働けどコートの重さは貧しさよ
慰めることは聴くこと夜の雪
頬袋に入りきらない雪月夜
湯豆腐の豆腐揺れ止むまでに言って
冬銀河ほど君を許せる範囲
死んだらだめな理由教えて毛糸編む
鼻奥がツンとする感情冬北斗
春風は君を選んで吹いている
春宵の多幸感は複雑多岐
春の夜の空いているお席へどうぞ
はこべらやあなたを信じられる理由
主人公みたいに生きてみたい春
花種蒔くこれから全て伏線に
この続き春になったら書けるかも
三月のフラペチーノがもう飲めない
その音が歌と気づいた時が春
長押しで見てみる陽炎のなか
現地集合現地解散春一番
全人類に届いてほしい春の闇