2026年1月は1/17(土)にZoom句会を実施。
今回も回答任意でアンケートを実施。
Q:あなたの「今年こそは」と思うことは?
結果はこちら
句会報:2026年1月「海原オンライン句会」
【高点句】(5点以上)
除夜の鐘ゆっくり通すシュレッダー さかいまゆみ
悴む手包む掌もまた悴めり 原洋一
冬うらら都合によりけふ呆けてます 原洋一
久女忌や赤きマニュキュア日にかざし 坂川花蓮
さよならもひとつのことば冬林檎 田中信克
待春やくるくる選ぶラジオ局 丹羽あやこ
ホスピスの夜の深さや青木の実 遙海季夏
【参加者各一句】(高点句以外)
雪山を透かして回る観覧車 あかり
綿虫や心の裏がかゆくなる 石川まゆみ
離婚届届ける途中の初詣 伊藤ペンタ郎
たまにわらう猫鮫を飼う受験生 男波弘志
冬夕焼爺ちゃん婆ちゃんの軽トラック 川嶋安起夫
ぐわんたんやなにも買はずにすごしをり 源汰
寒烏瞼やさしい亡骸を 後藤雅文
埋火や無数の指の乾くまで 小西瞬夏
着ぶくれて本の貸出し延長し 信子
うつしよをいつたりきたり除夜の鐘 矢野二十四
おお海原にくじらがうまれ地球の日 宇井十間
松過ぎの棚におさまる祖母の皿 貞行
寒九なり余生まだまだ九十九坂 塩野正春
遠目なるヨハネの像や冬の虹 樽谷宗寛
老犬の聖樹の下に振る尾かな 長谷歌子
離乳食の七種粥手叩く子 野口思づゑ
わたくしをかへすがへすよ日向ぼこ 有馬育代
雪女削除された愛の歓び 大渕久幸
順順に街路樹撫づる雪女郎 川崎拓音
冬満月老犬の眼の向こう傷 樹下修司
わんさぽなたいむ雑煮喰う子が父であり 木村寛伸
初雪のざらめくサドル三学期 小松敦
爆撃に慣れても鶴は眠れない 夏谷胡桃
ベネズエラ・グリーンランドの去年今年 野口佐稔
歳の神炎に同じ形なし 坂内まんさく
ズームてふ魔物に憑かれ初句会 姫
亀好きの石あり冬がいっぱい 平田薫
初富士の地平や馬のやさしき目 石鎚優
年超ゆる私はわたしそのまんま 石橋いろり
買初の缶コーヒーの甘さかな 野村正孝
叔母の名で呼ばれ返事す繭団子 満葉
雪坊主息止めてゐるツチ温し 井上勉
珈琲の香をたずさへる四日かな 柿岡みり
貧しさや首に十字架砂金掘る 大文字良
真夜中のポインセチアや他人のフリ 門司侑里
◇
2026年の初句会は初参加3名を含む41名。8点「除夜の鐘」、「ゆっくり」に気持ちが表れている。この一年で溜まった要らないものを丁寧に処分している。それは煩悩かもしれない。分かり過ぎる、との声も。大晦日のオフィスで深夜残業中と思うと非現実的。同「悴む手」、親子、恋人同士、災害の地に助け合う人、など様々なシーンを想像させた。自分の右手と左手との解釈も。類想が多く新鮮味がない、表現として動詞が続くと重たいとの意見もあった。6点「冬うらら」、実際のところ都合など無いが一日くらい休ませてくれ、との解釈や、国も社会も「呆けている」との社会批判を読ませる。機知的な句。このウィットを嫌う人は採らなかった。以下5点「久女忌や」、ややギラギラ過ぎるものの「久女」の情念が映像化している。忌日の句は、頭では理解できても、故人への思い入れがないと心に響いてこないとの意見には皆納得。「さよならも」、人間ドラマや境涯感を読み取った人多数。「別れ」も人生の一部として受け入れている。特別なことじゃない。「ひとつのことば」として自分を納得させている。そうやって人も熟れていく。「冬林檎」がいい、充分に吟味したい。「待春や」、ダイヤル式チューナーのラジオ。ノイズが晴れて周波数がぴったり合うまでのわくわく感が「待春や」。「選ぶ」の表現は再考の余地ありや。「ホスピスの」、「夜の深さ」は暗い院内を想像させてしまうが、とても素直な心情。ここでの夜は深いことだろう。それでも「青木の実」に存在感があって美しい。最期まで明るく穏やかに生きてほしいとの思い。
今月の「金子兜太・語録」は、金子兜太第一句集『少年』(1955年・兜太36歳)の「後記」です。「海原」ホームページの「海原テラス」コーナーをご覧ください。
(記:「海原」小松敦)

