2024年11月は11/16(土)にZoom句会を実施。
今回も回答任意でアンケートを実施。
Q:俳句をつくる時の自分ルールやこだわり(かもしれない)ってありますか?テーマ・表現方法・注意していること・ 禁じていること… 等々
結果はこちら
句会報:2024年11月「海原オンライン句会」
【高点句】(5点以上)
もぎたてのキャベツきっぱりものをいう 桂凜火
室の花皆黙読の法学部 小松敦
冬銀河あらすじのように旅をする 小松敦
字が声がぷつぷつ尖りゆく寒さ 和緒玲子
地蔵めく祖母の瞼や日向ぼこ 和緒玲子
夜行バス行き先は冬銀河らし 井上べん
厄介な血筋ぎんなん匂うなり 榎本祐子
ラッパーは猫背勤労感謝の日 大渕久幸
遅刻して早退ですか龍田姫 野口佐稔
着膨れてさらに一枚化けの皮 原洋一
君がさう言ふなら秋はモンブラン 原洋一
【参加者各一句】(高点句以外)
鯨啼く長き命は寂しけれ 花舎薫
夕暮れの梯子を仕舞ふ一葉忌 小西瞬夏
鳥渡る地球の円みにそのままに 塩野正春
流木のキリンが歩む秋の浜 樽谷宗寛
十一面みな笑み給ふ冬うらら 姫
ハマちゃんの腹踊りだよ新酒だよ 宮下由美
かじけ猫またすみつこでこつちみる 門司侑里
秋蝶やブーケトスには背を向けて 木村寛伸
無人駅上り下りの小六月 矢野二十四
雨の音は虫の音となり看取りの夜 伊東リハじ
手に足に沖の冷たさきりぎりす 男波弘志
鉄板を剥くと薔薇が咲いてくる 葛城広光
深夜のコンビニ勤労感謝の日 坂川花蓮
日の暮れがそこにそのまま神の留守 田中信克
客星をゆるしてをりぬ後の月 ながたにうたこ
鹿が鳴くガザの悲鳴と思うこと 夏谷胡桃
冬よ来い待つ人もなく日が暮れる 治子
ふじばかまぽっと明るいところだった 平田薫
老女の愚痴生まれつづける冬の庭 石川まゆみ
にんげんてふ小動物や秋惜しむ 石鎚優
冬の星仁丹のメンタムほろ苦し さかいまゆみ
初雪や鍋取り分ける手受け取る手 草汰
竹落葉山廬の主の手の厚さ 田中怜子
急行が停車を忘れ秋唖然 野口思づゑ
冬近し総出で捥ぐや会津みしらず 坂内まんさく
うっせぇわ自由に詠ませろ星月夜 満葉
しぐるるや葬式場の最寄駅 憂季
寝落ちしたあの頃の吾顔に麦 樹下修司
富士山が雪をかぶらぬ秋冷かな 笹木好里
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今月は36名、初参加1名。今回もいろいろなタイプの句が出た。最高点は6点「もぎたての」、新鮮なキャベツに包丁を入れる感触、「きっぱりものをいう」様子や人となりが顕らか、キャベツの内面性(巻きが固い等)とも呼応している等。一方「きっぱり」に「もぎたて」の喩は常套的、キャベツは捥いだことがないといった声も。同6点「室の花」、しんとした映像がよく見える。不気味な様子も。「室の花」が温室育ちの若者等の暗喩なら、近すぎる、いや控えめで良し、あるいは皮肉か、等々賛否あり。同6点「冬銀河」、採った人は「あらすじのように」をそれぞれに解釈し楽しんでいた。「あらすじ」がよくわからない、「999」か、かっこつけすぎとの声も。5点「字が声が」、憤懣やるかたない気持ち。「ぷつぷつ」のオノマトペに納得感が有るか無いかで分かれた。「地蔵めく」、可愛らしい、既にこの世から離れつつありそう等。そのまんますぎるとの声も。「夜行バス」、類想感あるもねこバス的ファンタジーを好む人は採った。「厄介な」、俳諧味あり。「血筋」の生々しさに賛否あり。「厄介や紅梅の咲き満ちたるは 耕衣」を踏まえたか、等々意見多数。「ラッパーは」、ラップのルーツに思いを馳せる人もいれば、現代的な勤労観を読んだ人も。「遅刻して」、今年の「龍田姫」へのアイロニー。「君がさう」、只事だとの意見に対し、作中主体の「気持ちのゆとり」を感じ取ろうよとの声。「着膨れて」、着膨れる前の素肌がそもそも「化けの皮」、人間存在のおかしみ等の肯定派に対し、この諧謔は俳句ではなく川柳だ、との問題提起あり。議論の時間がなく考察は各自の宿題となったが面白い。
次回は、参加者からのリクエストに応えて「兼題」を設けてみる予定。ところで、「作句」の時に「兼題」があるように、「選句」の時にも「お題」を設けてみようかと考え中。「最も〇〇な句はどれ?」とか。(記:「海原」小松敦)